今年の世界成長率予想を上方修正-スタグフレーション回避とOECD
(ブルームバーグ): 経済協力開発機構(OECD)は2日発表した最新の世界経済見通しで、2024年の成長率予想を3.1%と、2月時点の2.9%から上方修正した。
多くの国々で成長は以前の予想よりも底堅く、インフレ率は一層速いペースで鈍化する見通しだとしている。今年の日本の成長率見通しは0.5%、来年は1.1%。
中東での紛争や一段と根強いインフレによって経済の安定に支障が生じる可能性が引き続きあるものの、リスクの「バランスは改善」しつつあるとOECDは指摘。特に米国や中国、インドの見通しについて著しい改善を挙げた。来年の世界経済は3.2%の成長を見込んでいる。
成長ペースは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)やエネルギー危機前の平均である3.4%にすぐに戻ることはないとしても、こうした一段と明るい展望は、世界経済がスタグフレーション入りを回避すると見込まれることを示唆する。
今年のインフレ率の見通しは米国が2.5%上昇と、2月時点の2.2%上昇から上方修正された以外は、今回下方修正された。それでも、米金融当局が今年下期(7-12月)に利下げすることは可能だろうとしている。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は1日、年内利下げへの期待を残した一方で、予想を上回るインフレ統計などの発表が続いたことで、物価上昇圧力が緩和しつつあるとの確信の度合いが低下していることを認めた。
パウエル議長、年内利下げの期待残す-インフレ圧力緩和の確度は低下
OECDのチーフエコノミスト、クレア・ロンバルデリ氏は「緩慢な成長や地政学的リスクの根強い不安にもかかわらず、慎重な楽観論が世界経済に定着し始めている」と分析。「インフレは予想よりも急速に鈍化しつつあり、失業率は記録的低水準かその近辺にあり、労働市場は引き続き力強い」と説明した。
一方で、短期的には米国の力強い成長と一段と緩慢な欧州の成長の相違が続き、マクロ経済環境は強弱入り交じったものになるとOECDは予想。欧州中央銀行(ECB)が米金融当局よりも先に金融緩和を開始するなど、利下げのペースにも違いが生じるとみている。