セブンMBO助言に創業家がSMBC日興、伊藤忠は大和証-関係者
(ブルームバーグ): セブン&アイ・ホールディングスの創業家による同社への買収提案を巡り、財務アドバイザー(FA)として創業家側がSMBC日興証券、買収資金の出資を検討している伊藤忠商事が大和証券をそれぞれ選定したことが分かった。
複数の関係者が明らかにした。セブン&アイのFAは三菱UFJモルガン・スタンレー証券、買収提案の中身を検討するセブン&アイの特別委員会は野村証券をつけているという。
別の関係者らによると、創業家と伊藤忠、大手3メガバンクは出資と銀行融資合わせて総額9兆円規模に上るMBO(経営者が参加する買収)の具体策に向けた検討に入っている。一方、セブンに買収提案を行っているカナダのアリマンタシォン・クシュタールはFAに米ゴールドマン・サックスを起用しており、ビッグディールを成功に導こうと日米の有力投資銀行がしのぎを削るかたちとなっている。
創業家による買収提案の課題は巨額の買収資金が集まるかどうかだ。三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行の3メガバンクが最大6兆円規模の融資を検討している。
関係者によると、そのほかに出資金の確保を目指して創業家や伊藤忠のFAを務めるSMBC日興や大和証が、一部投資ファンドに優先株などの資本性資金の拠出を打診している。巨額すぎる融資は銀行のリスクにもなり得るため、出資を募って資本を厚くすることが重要となるためだ。
セブン&アイと同特別委、伊藤忠、大和証、三菱モルガン、SMBC日興、野村の広報担当者はコメントを控えた。セブン&アイ創業家である伊藤家の資産管理会社、伊藤興業に接触を試みたが連絡を取れなかった。
成長戦略は
セブン&アイには現在、法的拘束力のない2つの買収提案が提示されたことになる。創業家からとクシュタールからだ。今後の焦点は、どちらがセブン&アイの魅力的な成長戦略を提示できるかに移る。
クシュタールのアレックス・ミラー社長最高経営責任者(CEO)は10月のインタビューで、「当社が掲げるビジョンは、モビリティと利便性の提供という分野で世界のトップランナーになることだ」と述べた。2社の統合がその実現に向けた大きな一歩となるとしているが、具体的な道筋や手法は未知数だ。