アルナシーム坂越えた、壁越えた 1年4カ月ぶり二千で新味、大阪杯目標に/中山金杯
<日刊スポーツ賞中山金杯>◇5日=中山◇G3◇芝2000メートル◇4歳上◇出走18頭 山越えならぬ急坂越えで他馬を圧倒した。新年初の中山の大歓声は外から1頭突き進むアルナシーム(牡6、橋口)に送られた。1馬身1/4差の完勝で重賞2勝目。勝ち時計は1分58秒1。明け6歳馬ながら、約1年4カ月ぶりの2000メートル挑戦で新味を出した。今後は大阪杯(G1、芝2000メートル、4月6日=阪神)を目標にローテを考える予定。 ◇ ◇ ◇ 勝敗を決したのは坂だった。アルナシームが最後の直線で急坂を越え、内の馬を差し切る瞬間に大歓声がピークに達した。坂を越えてからも余力十分。藤岡佑騎手はゴール後、ガッツポーズを作り新年最初の大歓声に応えた。殊勲の鞍上は「4角で外に出した時点ですごい反応だった。最後にステッキを打っててしっかり反応していたのでこれは勝ったなと思った」と笑みを浮かべた。レースを見守った橋口師も「強かったですね。平たん向きだと思っていたので坂が心配でしたけど、克服してくれた」とほほ笑んだ。 経験豊富な明け6歳馬は距離の壁も越えた。2000メートルは4歳時に2回経験し6、8着。その後の主戦場は1600~1800メートルだった。前走のマイルCS(11着)で初コンビを組んだ藤岡佑騎手の進言で2000メートルへ再度挑戦。師は「ジョッキーの言った通りでした。完璧に乗ってくれました」と戦いを終えた人馬に感謝した。最高の形で1年をスタートさせ、視界は明るくなった。師は「馬自身も6歳ですけどパワーアップしている感じがありますし、ずっと期待していた馬だったので。この距離だし、相手も強いのに勝ってくれた。すごく大きいレースになった。今後は大阪杯が目標になると思いますし、1戦挟むかどうかは相談します」とコメント。新たな道へと踏み出した古豪の快進撃が始まるかもしれない。【舟元祐二】 ◆アルナシーム ▽父 モーリス▽母 ジュベルアリ(ディープインパクト)▽牡6▽馬主 ライオンレースホース(株)▽調教師 橋口慎介(栗東)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 23戦7勝▽総獲得賞金 2億527万2000円▽主な勝ち鞍 24年中京記念(G3)▽馬名の由来 海風(アラビア語)。母名より連想。