中日・井上2軍監督、「自分の色を出せれば」 1軍監督就任に前向き「立浪さんはエリート、僕は地方馬。同じことはできない」
球団から来季の1軍監督就任をオファーされている中日の井上一樹2軍監督(53)が1軍の最終戦から一夜明けた7日、要請を受け入れる方向で調整していることを明かした。思いは退任した立浪和義監督(55)の継承。この日は秋季教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」の開幕戦・サムスン戦(アイビー)で指揮を執った。 ◆杉下、高木、星野、落合…中日の歴代監督【表】 井上2軍監督が責任と重圧を感じたのは6日夜、立浪監督のスピーチを聞いた時だった。1軍監督の就任要請から数日後、宮崎市内の宿舎で目にしたバンテリンドームナゴヤの動画。去る1軍指揮官の表情、声色に触れた。おぼろげながら描いていた就任という骨格がはっきりすると、怖さを感じた。 「俺にとってはすごくいい先輩で、いい兄貴で、師匠。俺がなえてる時も助けてくれた。あの人があっての俺の野球人生。足を向けて寝られない。シーズン中から『苦労する』という言葉をよく聞いていましたので…」 今年は1、2軍の指揮官という間柄で、そして先輩、後輩という立場で過ごしてきた。球団から要請を受け、すぐに連絡したのも立浪監督だった。心に刺さっている言葉がある。「一樹、苦労するやろ。このチームはまだまだこれから」 ”井上次期1軍監督”には、何が「まだまだこれから」と映っているのか。「フロントと現場の一体感やコミュニケーション。スカウト、育成、1、2軍の連携。もっと密にやらないといけないのかなと思っています」 3年間で成し遂げられなかった立浪監督の悲願。それを成就するために引き継ぐ。 「立浪さんはエリートコースを歩んできた。僕はたたき上げで、やっとはい上がってきた地方馬。同じことはできない。芯、負けん気の強さはまねできない。そういうところは自分の色を、(立浪監督とは)また違った形で出せればいいのかなとは思ってます」 答えを出し、球団へ連絡すれば物事は一気に進む。秋季練習、ドラフト会議、秋季キャンプ…。あっという間にオフに突入する。気づけばカレンダーは2025年となり、春季キャンプがやってくる。 「あの人がつくってくれた財産を、もうちょっと磨ければ。光る手前まで来てるじゃんというような選手も、やっぱりいっぱいいる。これから先も立浪さんとの関係性は変わらないし、アドバイスをもらいたいと思っています」 最大限の敬意を払って立浪監督を見送り、バトンを受ける。続・立浪竜の一面を持つ新生・井上竜。沖へ出た船の船長は代わる。3年連続最下位からの浮上へ、井上2軍監督は、立浪さんと勝利の喜びをかみしめるために就任オファーを受ける考えでいる。 ◆井上2軍監督の指導者歴 10年に中日1軍打撃コーチ、11年は2軍監督で「ファーム日本一」 現役を引退した翌年の2010年に中日の1軍打撃コーチに就任。リーグ優勝を果たすと、11年は2軍監督に就任し、育成の場である2軍でも勝利へのこだわりを植え付け、2年ぶりのウエスタン・リーグ優勝に導いた。日本ハムとのファーム日本選手権も制し、「ファーム日本一」を達成。12年は1軍打撃コーチに復帰し、13年オフに退団した。
中日スポーツ