自治体職員、ノーネクタイ・ノージャケット広がる 「来庁者への配慮前提」独自基準を設ける動きも
自治体職員の勤務中の服装について、ネクタイやジャケットの着用を求めない動きが広がっている。山陰両県内の12市では11月中旬時点で7市が、季節に関係なくビジネススーツに限らない服装での勤務を認める方針を職員に通達した。働きやすい職場環境を目指す一方、来庁者に不快感を与える事態を避けるため、独自の基準を設けた自治体もある。 【空調問題】「室温28度」あり?なし? クールビズ導入20年目 良好な環境で効率よく仕事を
クールビズの期間が終了した11月上旬。松江市役所ではネクタイをせず、ジャケットの代わりにフリースやカーディガンを羽織った職員が業務に従事した。 市は「通年エコスタイル」と称し、今月1日から本庁と支所の職員のノーネクタイを推奨。服装にも制限は設けない一方、式典や会議への出席といったTPO(時、場所、場合)を考慮した対応を求める。職員の反応は上々で、市人事課の加納克浩課長は「職員の意見や市民の反応を踏まえつつ、今後の在り方を考えていく」と話す。 環境省は季節に関係なく各自の判断で働きやすい服装を選択するよう呼びかけており、両県では11月中旬時点で松江、浜田、出雲、益田、大田、雲南、鳥取の7市がノーネクタイやノージャケットを認める方針を打ち出している。 益田市ではスニーカーやポロシャツ、チノパンの着用を認めると明言。クールビズとウオームビズを通年化し、冷暖房の調節で電気使用料の削減も見据える。
一方、来庁者への配慮を理由として、一定の自由度を担保しつつも基準を設ける動きも出ている。 浜田市ではカーディガンの着用のほか、襟のないシャツとジャケットの組み合わせなどを「適切な服装」とする一方、ジーンズやサンダルといった軽装を「適切でない服装」として例示する。出雲市も独自のガイドラインを策定し、色を白、紺、黒に限定し、柄も無地を原則とする対応を取る。市人事課の山崎稔之課長は「来庁者への配慮が前提であり、華美にならないよう、どこかで線引きが必要だ」と見解を示した。 方針として示していない自治体でも、職員によってはネクタイやジャケットを着用せずに勤務しているのが実態で、倉吉市は近くノーネクタイの通年化を明言することを検討中。市職員課の山口雄治課長は「正式にアナウンスすれば、職員が服装に戸惑わなくなる」と、方針として明確化することのメリットを説く。