〈食べログ3.5以下のうまい店〉紹介制の肉割烹が一般予約を開放! 極上の肉料理をいち早く体験したい
「牛肉に関して銘柄や等級がすべてだとは思っていませんが、川岸さんのグラン・ロインは別格。どう調理すべきか、手で触れば自然と答えが見えてくる。そういう牛肉を扱えることは料理人冥利に尽きます」(島田さん)
めくるめく牛肉のコースに酔いしれる、心尽くしの料理が満載
肉割烹といっても間に野菜などを使った一品料理を出す店も少なくないが、「肉幸」は最初から最後まで全品肉尽くし。川岸畜産の雌牛をメインに、新鮮な内臓類など、あらゆる肉料理が登場する。最高峰の食肉を扱っているが「おいしさのためなら採算は度外視」と8品のおまかせコースを27,500円で提供。味に緩急をつけ、ボリュームを適量にするなど“肉割烹”としての満足度を高めるために、さまざまな工夫を凝らしている。
牛肉料理でも季節感を楽しんでほしいという心遣いは料理の随所に。ランプのしゃぶしゃぶは、すき焼きの割下にとろろと土佐酢のジュレを加えて爽やかに。しっとりとした肉質とコクのある味わいがより際立つ一品に仕上げている。
肉質や部位に合わせてさまざまな熱源を使うのも「火入れに心と味が出る」という思いから。うちもものたたきは1度、常温に戻してから表面を藁で焼き付け外側からじっくりと火を入れている。香りをまとわせることで肉のまろやかなうまみが増幅。
そして、島田さんの和食と和牛を融合させる技を印象づける一品も。牛ほほ肉のビーフシチューは、牛骨やその端材などから出汁を取ると思いきや、かつお出汁を合わせるというからそのアイディアに驚く。「肉の出汁はどうしても重たくなるので、日本人に舌馴染みのよい魚介の出汁でさっぱりと仕上げます。コースなので、その前後の料理のことを考えると重厚な風味が残らない方がいいと思うんです」(島田さん)
スペシャリテのハラミは味の凝縮感に感動せずにいられない!
正肉のみならず、内臓肉の調理技術も圧巻! 島田さんが自身のスペシャリテと胸を張る無水ハラミは、芝浦一の内臓卸と名高い「樺澤商店」から。乾燥させて味を十分に凝縮させたハラミを未真空で仕入れ、その後に低温と高温を使い分けて火を入れる逸品。じっくりと噛みしめるたびに肉の繊維の間から濃厚なうまみがあふれ出す。「高温だけでは肉が乾き、低温だけではせっかくの風味が弱くなる」ため、手間と時間をかけてベストな焼き具合に。倍量で注文する常連客がいるというのも納得のおいしさだ。