〈食べログ3.5以下のうまい店〉紹介制の肉割烹が一般予約を開放! 極上の肉料理をいち早く体験したい
肉質や部位の個性を見極め、自由闊達な調理法で肉好きの心をとりこに!
L字形カウンター内の厨房で調理にいそしむのは、島田忠任さん。父母ともに東京・日本橋で料理人として働く家に生まれ育つも「同じ道へ進むという気はなかった」と話す。それでも、血は争えないというべきか。料理人として生きると決意をした島田さんの才能とセンスはみるみるうちに開花。しゃぶしゃぶとすき焼きで人気を集める白金高輪「今福」の料理長を任されると8年連続でミシュランの星を獲得。肉と真剣に向き合う日々の中で、その知識と技術をさらに深めていった。
調理場と客席にほぼ隔たりのない“さらしの仕事”。料理中の姿だけではなく、つくり手の志まで見える空間ゆえ、島田さんは営業後もフードや水回りを徹底的に磨き上げ、朝も9時前には店に出て一から仕込みを始める。「素晴らしい食肉を扱うことができる感謝。その肉を一番おいしく食べてもらうためにはどうしたらいいかを考えていたら休んでいる時間はありません」と静かに語る。
兵庫県の西脇市で全頭雌牛の長期肥育を行う川岸畜産。「ピン中のピン」と呼ばれる神戸ビーフを扱いたいと願う飲食店は全国でも後を絶たないが、「肉幸」ではその中でも月に7~8頭しか出荷されない超希少なグラン・ロインを味わうことができる。
グラン・ロインの定義は、兵庫県内で生まれた但馬牛の純血種であることと未経産の雌牛であること、枝肉重量は360kg以上、499.9kg以内などいくつかあるが、その中でも重要なのは、言うまでもなく、牛の血統と兵庫県の川岸牧場で700日以上肥育されているという点にある。川岸農場で育てられるのは血統管理が徹底された純国産の黒毛和牛。「神戸ビーフ」を名乗ることができるのは、その中でも厳しい審査をクリアした牛肉のみで、さらにグラン・ロインともなると、そのハードルはさらに高くなる。そして肥育期間だが、多くの焼肉店などで扱う牛が28~30カ月肥育であるのに対し、35カ月以上の長期肥育と、コストがかかるうえに病気のリスクも高まる。それでも牛の個体に合わせた飼料で、ストレスをかけずに肥育することは肉の健やかなおいしさに直結する。