夫婦同じベッドはNG!?医師に聞く「睡眠の質を上げる寝室」5つの条件
ら疲労解消のための対策を紹介していく。何より重要なのは「睡眠」だ。時間を確保して眠るのはもちろん、睡眠環境に配慮して質の高い眠りを手に入れよう。 【グラフ】8時間以上睡眠をとっている人の割合、10代が約20%でトップ、40代は?睡眠に関する調査結果を見てみる!
良質な睡眠の確保が疲労回復の唯一の対策
脳の疲労を取り除く最大の対策。それは、「質の良い睡眠を取ること」だと梶本先生は語る。 「私が携わった産学官プロジェクトで、『起こってしまった疲労を回復させるには、質の良い睡眠を取る以外にはない』という医学的事実を解き明かしました」 なぜ、睡眠が疲労に作用するのか。 「活動時よりもストレスが少ない睡眠中は、傷ついた自律神経を修復する大切な時間です。特に重要なのが、寝入ってから最初の3時間。なかでもノンレム睡眠中に、自律神経など脳の細胞の修復作業が行なわれます。もちろん6時間程度の睡眠は必要ですが、最初の3時間の睡眠の質が上がれば、脳の疲労はかなり残りづらくなります」 ちなみに、“午後10時から午前2時が睡眠のゴールデンタイム”と聞くが、就寝時間にこだわる必要はないという。むしろ配慮すべきは、〝自律神経にやさしい睡眠環境〟だ。 「まず、欠かせないのが室温管理です。ポイントは脳を冷やす環境を整えること。自律神経は気温に応じて体温を調節するので不快な温度の中で眠ると余計な負担がかかります。春や秋はともかく真夏や真冬は、エアコンをつけて寝るほうが、自律神経も安定し、疲労も回復します」 なお、室温は、22~24℃を保つのが理想的だという。 「『エアコンをかけて寝るのは不経済だ』と思われるかもしれませんが、25℃以上の環境で寝ると、明らかに脳の疲労回復を阻害します。変にケチってエアコンをつけないと、健康を損なうと心してください。 また、日本人の平均的体格ではこの温度では寒いと感じることが多いので、夏でも長袖長ズボンのパジャマを着たり、通年使える布団をかけたりして寝るようにしましょう」 そして、照明の度合いや自分だけの睡眠スペースの確保も大切だ。 「就寝時は部屋に光を入れないように注意を。豆電球程度の照明でも、睡眠の質は下がります。また、入眠前は白色の照明よりも夕焼け色の照明のほうが、快適な睡眠を誘う脳内ホルモン、メラトニンが分泌されやすく入眠がスムーズです。 就寝前の寝室の明かりにも気を配りたいですね。ご夫婦の場合は、部屋は同じでもいいですが、布団は分けたほうがいいです。どんなに仲の良い間柄でも物理的距離が近いとストレスを感じるので、自分だけの空間を確保しましょう。 また、ひとつの布団で一緒に寝ると互いの体温を移しあい、自分の熱を発散できず、睡眠の質が下がってしまいます」 睡眠の質は自分で判断しづらいが、ひとつの基準となるのが「いびき」だ。 「いびきは睡眠中の筋肉がゆるんで舌で気道が狭まる結果、起こる現象です。気道が狭いと自律神経は横隔膜を平常時より動かして肺に空気を送り、心拍や血圧を高めて脳への酸素供給を維持します。 結果、自律神経がフル回転することになり、運動しているのと変わらない負荷がかかるので、寝ても疲れが取れなくなります。いびきをかいている人は、病院に行って、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)などを試してみてください」 睡眠において最も大切なのが、自律神経の修復が行なわれる就寝後の3時間。この時間の眠りの質をいかに上げるかが、疲労回復のカギ。 後編では、梶本先生にお話いただいた睡眠の質を上げるポイントを5つにまとめた。 取材・文/藤村はるな イラスト/タイマ?タカシ 編集/高野杏里
@DIME編集部