ゲリラ豪雨、津波いち早く検知…観測装置は1個1万円 注目集めるインフラサウンドの防災活用
インフラサウンドとは
インフラサウンドは大気中を伝わる波動の一種で、振動の周期が長く、周波数は人の聴き取れる音の下限(20ヘルツ)よりも低い微細な気圧変動。ゲリラ豪雨をもたらす積乱雲、竜巻や、地震、津波、火山噴火、土砂崩れなどに伴って発生し、時速50~1000キロ以上の高速で遠くまで伝わる特徴がある。 これまで実用面では、核兵器の爆発に伴っても発生することから、1996年の国連総会で採択された包括的核実験禁止条約(CTBT)の枠組みで、大気圏内の核実験を察知する手段の一つとして世界的に観測網が築かれているが、近年、注目されているのが防災への活用だ。 東日本大震災の時のような海溝型地震が引き起こす津波の場合、インフラサウンドは津波に先駆けて陸地に到達するため、より早期の検知手段として有用視されている。 また、2022年1月に南太平洋・トンガ沖で海底火山が噴火した際、日本の沿岸も含めて地球規模で観測された津波は、この時に発生したインフラサウンドによって引き起こされた海面振動が原因の一つであるとされており、観測の必要性が改めて重視された。 大阪大の杉本めぐみ准教授によると、先ごろ、04年スマトラ島沖地震で発生した津波の被災地、インドネシアで開かれた国連教育科学文化機関(ユネスコ)政府間海洋学委員会の会議で、インフラサウンドの観測データを津波防災に生かす方針が決まったという。 九大と共同で実証実験を行った高知工科大では、南海トラフ地震を念頭に津波の予測精度を上げて避難に役立てる研究が、北海道情報大では雪崩の発生を検知するシステムの研究が、それぞれ地域課題として取り組まれてもいる。