称賛を集める「多様性の描き方」とは? 映画『モアナと伝説の海2』評価レビュー。今、続編が作られたことの意義を考察
激化するアクションと成長するヒロイン
エポック・メイキングな1作目の続編となるのが、この『モアナと伝説の海2』だ。今作は、もともとは「Disney+(ディズニープラス)」で配信されるシリーズとして制作されていたようだが、今年になって映画として再構成し公開されることが発表された。また今回、リン=マニュエル・ミランダは参加していない。 そうした制作の過程やミランダの不在といった事情含め、完成度の高かった前作と比べてしまう人もいるかもしれないが、『モアナと伝説の海2』では、激しさを増したアクション、主人公たちのさらなる成長、多様な人々との共存を描いており、シリーズに新たな魅力をもたらしている。 本作は前作の3年後が舞台になっている。冒頭、モアナは、島の外にいるかもしれない他の民を探す日々を送っている。 あるとき、先祖の幻影を見たモアナは、人々が集う島・モトゥフェトゥがかつて存在したこと、しかし、嵐の神ナロ(トゥフィガ・フェプレアイ)がこの島に呪いをかけて隠してしまったことを知る。ナロに立ち向かい、海の民たちが集う古代の島を見つけるために、モアナは仲間を集めて再び冒険の旅に出る。
ヒーロー映画を彷彿とさせるクライマックス
今回のモアナたちの旅は、以前よりも激しさを増し、アトラクションのようにさえ感じられる。なんでも飲み込む巨大な貝、コウモリの軍団を従えモアナを惑わすマタンギ(アフィマイ・フレーザー)、そしてナロが引き起こす嵐と雷。 これらに巻き込まれながら、目まぐるしく移動するモアナたちの船は、さながらジェットコースターだ。映画の途中でディズニーのテーマパークと乗り物をつい想像してしまうほど、アトラクション感が際立っているように思う。 また、ヒーロー映画の要素もより強まっているように感じる。今回のモアナは、バラバラな個性を持つ船の乗組員たちをまとめるリーダーであり、その姿もよりたくましい。リーダーとしての葛藤もあり、それを乗り越えていく姿や、詳細は省くが、彼女に訪れる変化はまさにヒーローのそれである。 加えて、嵐の神ナロと終盤の物語の展開、クライマックスでナロが引き起こした雷の描写は、『アベンジャーズ』シリーズ(2012~)を思い起こさせた。