米国、8月の雇用14.2万人増で25ベーシスポイントの利下げとなるか
米国の8月の雇用者数は予想をわずかに下回ったが、連邦準備制度理事会(FRB)が今月後半に50ベーシスポイントの利下げサイクルを開始する程には弱くなかったと思われる。 米国時間9月6日午前に政府から発表された非農業部門雇用者数の報告によると、米国は8月に14万2000人の雇用者数増加となったが、エコノミスト予想の16万人、7月の8万9000人(前回報告の11万4000人から修正)を上回った。失業率は予想通り4.2%に低下し、7月の4.3%から下がっている。 ビットコイン(BTC)の価格は、統計発表前の数日間で大幅に下落していたが、発表後の数分間で約1%上昇して56500ドル(約802万円、1ドル=142円換算)となった。価格は1週間前の水準から5%下落した。 伝統的な市場の反応に目を向けると、米国株価指数先物は序盤の大幅な下落を吸収し、ナスダックは以前の1%以上の下落に対して現在はわずか0.5%下落となった。10年米国債利回りは5ベーシスポイント低下して3.68%となり、ドル指数は0.3%下落。金は0.5%上昇して1オンスあたり2557ドル(約36万円)となり、史上最高値に近づいた。
FRBの利下げはどの程度になるか
8月の雇用統計は常に鍵となる主要なデータポイントであるが、FRBが9月中旬の会合で利下げを開始する予定であることから、さらに重要性を増している。従来の考え方では、米国の中央銀行はフェデラルファンド金利をわずか25ベーシスポイント引き下げることで、今回の金融緩和サイクルに慎重に入ると考えられていた。しかし、FRBは8月の雇用統計が弱かったことから、その会合で50ベーシスポイントの利下げに動くかもしれない。 今回の報告書で見られる数値は、50ベーシスポイントの引き下げを正当化するものでもないと見られる。しかし、7月(11.4万人から8.9万人へ)だけでなく、6月(17.9万人から11.8万人へ)も下方修正されているのは、やや問題だ。総合すると、3か月平均の雇用者数増加がわずか11.6万人であることは、FRBの議論で必ず取り上げられるだろう。 同報告書における他の詳細情報を確認すると、やや明るい状況が見受けられる。8月の平均時給は0.3%増、7月は0.1%減と予想されていたが、0.4%増となった。前年比では、平均時給は3.7%増、7月の3.6%増と予想を上回り、3.8%増となっている。 「目立った内容ではないが、堅実な報告であり、景気減速傾向が続いていることをほぼ裏付けている」と、経済学者のジョー・ブルスエラス(Joe Brusuelas)氏は統計発表後に記している。同氏によると、こうした詳細情報はFRBによる25ベーシスポイントの利下げを支持するものになるという。 |翻訳・編集:T.Minamoto|画像:Shutterstock|原文:U.S. Added 142K Jobs in August, Likely Setting Stage for 25 Basis Point Rate Cut
CoinDesk Japan 編集部