国山ハセンがこの1年で急速に「アタマがよくなった」と明かす、その理由とは? 圧倒的な「対話の量と質」の変化がもたらしたもの
自分で自分を語れる力を磨く。 自分自身と対話をする「ひとり時間」、ぜひ習慣として取り入れてみてください。 ■「自分の感情」の理解は「他人の感情」の理解にもつながる 自分の感情にしっかりと向き合う時間を重ねていくと、自分自身の「感情のクセ」がわかってきます。 どんなことにワクワクし、エネルギーをもらえるのか。逆に、何にフラストレーションを感じるのか。 好き嫌いも含めて自分の感情の傾向を知ることができれば、対話の場面でもそれを明確に相手に伝えることができます。 「僕はこういう考えは、正直言ってあまり好きではありません。なぜなら、以前、こういう出来事があったからです」 などと、自分の言葉で価値観や体験を語れる自信がつき、相手にも伝えることで、お互いに本音を交換できる時間が生まれます。 「自分の感情」を理解することは、「他人の感情」の理解にもつながります。 それに、一つの出来事に対する感じ方について、単に漠然と「どうですか?」と質問するよりも、「私だったらこう感じるのですが、あなたはどうですか?」と一つのサンプルとして投げかけるほうが、相手も答えやすくなるはずです。 ふり返れば、私は幼少の頃から「自分と他人の価値観の違い」に敏感でした。 父がイラク出身だったというのにも少なからず影響を受けていると思います。 加えて、その父は単身赴任で年に数回しか日本に帰ってこなかったために、たまに一緒に過ごすたびに会話の端々から「生活文化の違い」を感じ取っていたのだと思います。 考え方や価値観はたった一つではなく、その人固有の体験やバックグラウンドに基づくものである。 文化、宗教、人種など、多様性を尊重し、物事を多角的に捉えることは極めて重要なのだ――。 多様であることが自然である。 そんな理解が、私の対話のベースとなっています。
■「生きた言葉」を探して ここで、大切にしている言葉をご紹介させてください。 「生きた言葉を探してください」 TBSの大先輩である長峰由紀アナウンサーからいただいたメッセージです。長峰さんはすでにTBSは退社されましたが、私にとっては恩師と言える方です。 アナウンス研修を担当してくださり、日曜日のお昼の『JNNニュース』という報道番組もご一緒させていただきました。 その番組を私が卒業するとき、いただいたお手紙にこの言葉が書いてありました。 アナウンサーは、ニュース原稿というバトンを受け取り、ニュースを視聴者に届けるアンカーの役割を担います。 ニュース原稿は、記者やディレクターが時間をかけて取材した内容を限られた時間の中で視聴者に伝えるためにまとめたものですが、それを読むだけでは「伝える」ことはできません。もちろんうまく読むテクニックはありますが、大切なのはニュースに向き合う気持ちだ、と教えていただきました。 原稿に書かれた言葉の背景を想像し、時には言葉に想いをのせることも必要です。 ニュースに寄り添い、視聴者に寄り添い、「生きた言葉」にしなければいけないなと痛感しました。 「生きた言葉」を探す――。私の胸に深く刺さった言葉であり、インタビューや取材を通していつも考えていることです。 取材現場で何を聞き、何を感じ、どんな言葉をどう伝えるのか。難しい表現でなくとも、「生きた言葉」は相手に届くのだと思います。 同じ瞬間は二度と訪れないのですから、一瞬一瞬、目の前の人との対話を楽しみながら、「生きた言葉」を探し続けます。 この文章を書いている間にも、ワクワクしてきました。私の前に広がる世界は、まだまだ知らないことばかりです。恐れず一歩を踏み出してみようと思います。
国山ハセン