教育虐待のほとんどは「わが子のため」から始まるが…中学受験は「かわいそう」なことなのか?【臨床心理士が解説】
高校受験か、中学受験か
【悩み】中学受験するメリットは何でしょうか? 私は地方出身で中高と公立の学校に進学し、大学は地元の国立に進学しました。今は、東京に住んでいます。娘は中学受験のために小4から通塾しています。娘の学校の成績は、小1からほとんどオール5ですが、塾での成績は中の上といったところです。 娘は、学校の成績が良いので、内申書がある高校受験の方が向いているのではと思い、中学受験ではなく高校受験を提案したら、妻と娘からは猛反対されてしまいました。 中学を受験するメリットは何なのでしょうか?(小6女子の父) ⇒A. 切れ目のない6年間を過ごすことができる。 中学受験も高校受験もどちらにもメリット・デメリットがありますので、どちらが良いということは一概には言えません。 私立中学と公立中学の一番の違いは、高校受験による切れ目があるかないかだと思います。私立中学の多くは、高校受験をする必要がないので、中学1年から高校3年までの6年という長い期間を切れ目なく過ごすことができます。また、私立は、学校の理念や教育方針が異なり、授業や部活動、課外活動などの取り組みに特色があります。したがって、中学高校の6年間という長い期間を留学したり、スポーツに打ち込んだり、楽器を極めたりと、自分の強みを活かすために、自由にカスタマイズしやすいというメリットが私立中学にはあります。 また、私立中学には、男女別学の学校があるということも公立中学との大きな違いです。異性がいない方がのびのびと自分らしく過ごせるというお子さんにとっては、その点は大きなメリットです。今の時代にお子さんが6年間別学で過ごすことに抵抗がある親御さんもいらっしゃるかと思いますが、そうした環境を求める方にはいい選択肢でしょう。 中学がある私立の学校では、高校からは生徒の募集をしなかったり、募集をしていても人数が少なかったりするところもありますが、一方で、中学が設けられていない高校もあります。 高校受験は中学での内申書を必要とする場合が多く、その点で、お父様は高校受験の方が娘さんに合っているのではないかと考えられているようですね。実は私立中学校でも調査書や報告書通知表のコピーを提出する学校もあります(点数に換算される学校もあれば、提出はされるものの加味しないという学校もあります)。 受験を始めた頃とは、志望校や考え方が変わってきていることもあるかもしれません。再度、中学受験のメリットとデメリットを共有したうえで、どこを受験するのか、どのような受験の仕方をするのかを親子で話し合ってみると良いかもしれませんね。 真田 涼 RinDa臨床心理士ルーム 代表 臨床心理士・公認心理師、小説家 小児科にて発達健診や集団療育、保健所の心理判定員、行政の巡回相談員、幼稚園や保育園等でのストレスチェック、教育委員会委託講座などを行っている。著書に『受験精が来た!』(講談社青い鳥文庫)がある。