屈辱の指名漏れ…思わずこぼした涙「プロはまだ早いと」 大阪桐蔭右腕が忘れぬ悔しさ
10キロ近く増量し最高球速は152キロにアップ…ツーシームも習得
「ストレートの質を上げることと、初回から9回まで全力で投げられる体力と精神力をつけることが自分の課題」と明確に自覚し、練習に取り組んでいる。この1年で10キロ近く増量して体重93キロとなり、太ももも約7センチ太くなった。189センチの長身から投げ下ろすストレートの最高球速も、高校時代の148キロから152キロに、4キロアップした。「右打者をどう打ち取るかを考えた末、内野ゴロを打たせるために」ツーシームを習得。投球の幅も広げた。 「社会人でプレーする以上、(プロ入りする時は)絶対に即戦力で行かなければならない。1軍でシーズンを通して戦えるように、精神的にも身体的にもレベルの高いプレーヤーを目指しています」と意識が高い。 もともと大阪桐蔭高入学当初は、「同学年に別所孝亮(慶大)、川井泰志(日体大)ら、中学球児を代表する投手がいて、不安しかないスタートでした」と明かす。1年後には前田も入学してきたが、それでも「絶対に大阪桐蔭でエースになって甲子園で優勝する。そしてプロに行くと、3年間変わらずに毎日毎日思い続けました。日々の本当に小さな積み重ねの結果、最後の夏に背番号『1』を付けることができたと思っています」とうなずく。 明確な目標を立て、1日1日たゆまずに努力する姿勢は、今も変わらない。ドラフトで指名されず苦汁を飲まされたことも、「起こっていることには全て意味があると、僕は考えています。実際に、あの経験が今に生きている。自分を1段階強くしてくれた思い出です」ととらえている。高校からプロへという構想はかなわなかったが、“プランB”を堂々と踏破していく。
宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki