相続を「争族」に変えないために! 心がけておきたいこととは?
相続が円満に行われるものだという考えは、おおむね間違いではありません。大多数の人は、相続を円満に行っています。しかしながら、少数の人については、円満ではなく「争族」に発展してしまう事実も存在するのです。 そこで今回は、「争族」に発展しないために心がけておきたいことを、お話しします。
相続が争族になる原因は?
相続が争族になる原因はいくつもあります。しかし、大きな原因の1つとしては「親子のコミュニケーション不足」だと筆者は感じています。 相続は「次世代に資産を譲ること」です。そのため、親が子や孫へ自分の資産を譲るのであり、誰に何を渡したいかは親が自由に考えれば良いことなのです。あえて言うのであれば、自分の資産を譲るのか自分で使い切るのかといったことも、親が自ら考えれば良いことなのです。 ところが、譲られる子や孫にも意思があり、さらにはその子の配偶者を始めとする親族にも意思があるのです。そのため、親の意思と子や孫の意思がぶつかり合い、争族になるのです。
意思のぶつかり合いは、元気なうちにぶつかっておくこと
人は年齢を重ねるごとに頑固になる傾向があります。頑固になるのは悪いことではありません。それは人生経験を重ねたことにより、自分を守るために必要な手段であり、ひいては自分の資産や家族を守るための手段になっているのです。 しかしながら、年齢を重ねれば人の意見を聞きにくくなることも事実です。「(いろいろなものを)守りたい」という意思が強いと、人の意見をはねつけてしまうのです。 そこで、自分が作り上げた大切な資産や先祖から受け継いできた大切な資産をどのようにつないでいきたいのかを、元気なうちから考えておくことが大切です。そしてその考えを子や孫と共有することが重要です。できれば子の配偶者にも共有しておくことをお勧めしますが、子や孫が了承していれば問題はありませんので、最低限、子には共有してください。 親の意思を共有すると、子の意思と異なるところが出てくることもあるでしょう。そのときは、めいっぱい子とぶつかりましょう。なぜ、自分がこのような思いで大切にしている資産を譲りたいのか、ということをしっかり真剣に伝えてください。子も親の意思や本意が分かれば、理解を示すかもしれません。 もちろん、突然子にこのような話をしても伝わらないかもしれませんが、何度も話し合いを重ねることで、真の意思が伝わることになります。そのため、「元気なうちに」ということがポイントになります。元気なうちに真の意思を何度となく伝え、子に理解を求めるのです。