<甲子園交流試合・2020センバツ32校>第1日 第1試合 大分商-花咲徳栄 みどころ
2020年甲子園高校野球交流試合(日本高校野球連盟主催、毎日新聞社、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)が8月10日から、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で行われます。予備日を挟み17日まで計6日間の大会には、中止となった今春のセンバツ出場32校が招待され、各1試合を戦います。毎日新聞ではセンバツ交流試合の特設ページを開設。憧れの舞台に懸ける出場校や試合の見どころなどを紹介します。=随時掲載 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 ◆第1日 第1試合 大分商-花咲徳栄 8月10日 10:00 ◇みどころ プロ野球のスカウトが注目する最速148キロ右腕の大分商・川瀬堅斗と、花咲徳栄打線の対決がポイントとなる。 プロ野球・ソフトバンクの川瀬晃(ひかる)選手を兄に持つ川瀬は、変化球も多彩。OBの森下暢仁(まさと)投手(広島)が明大在学時に伝授した、縦に割れるカーブも効果的だ。制球力もあり投球術も巧みで、渡辺正雄監督は「川瀬中心にロースコアに持ち込むしかない」と語る。ただし7月4日の練習試合で左脚を痛めており、万全の状態で臨めるかが鍵になる。 花咲徳栄は2017年夏の甲子園で優勝した頃のような強打が健在。19年秋の関東大会1回戦の拓大紅陵(千葉)戦は二回までに7点を奪い、圧勝した。中心は昨秋までに高校通算47本塁打の右のスラッガー、井上朋也。岩井隆監督は「フルスイングで攻撃を前面に出していく」と自信を見せる。川瀬が本調子を欠けば、序盤で優位に立つ可能性もある。一方、関東大会2回戦の山梨学院戦で1点しか奪えずに敗れるなど花咲徳栄打線は粗さもある。後半勝負になれば、昨秋の九州大会で挙げた3勝がすべて3点差以内と接戦に強い大分商の流れになる。【吉見裕都】 ◆大分商 大分県・県立 全国大会出場回数 春6回/夏15回 ◇創部100年目 士気高く 23年ぶりのセンバツへの切符を手にしながら、新型コロナウイルス感染拡大のために一度は夢を絶たれた。それでもセンバツ交流試合で甲子園の土を踏めることになり、選手の士気は高まっている。 甲子園出場回数は県内最多の春夏通算21回(中止となった今春のセンバツを含む)。「大商(だいしょう)」の愛称で親しまれる古豪で、甲子園では春夏計5回のベスト8進出を果たしている。 公立校のため寮はなく、グラウンドはサッカー部と共用。練習環境が整っている私立の強豪の壁に阻まれるなどして、平成の30年間で甲子園に出場したのは3回だった。しかし令和になって、チームは躍進した。昨秋の県大会でノーシードから勝ち上がって準優勝すると、九州大会では準々決勝で福岡第一、準決勝で鹿児島城西と、私学勢を連破して準優勝した。 チームをけん引したのは、最速148キロの速球を誇る本格派右腕の川瀬堅斗(3年)。主将を務め、打者としても昨秋の公式戦でチーム最多の9打点。まさに大黒柱だ。 中堅手の渡辺温人(3年)は、50メートル5秒75の俊足を生かした守備範囲の広さが持ち味。遊撃手の岩崎竜也(3年)は状況に応じて守備位置を指示する司令塔の役割を担う。 新型コロナの影響で、県立高校は3月から臨時休校が続いた。6月1日からようやく全体練習が再開され、チームは再始動。渡辺正雄監督は「正式に甲子園に立てるのがうれしい」と話し、川瀬は「チーム全員で勝利をつかみ取って、全国の皆さんに大分商業の野球を見せつけたい」と意気込む。 創部100年目の節目の年。大商が目指すのは憧れの舞台、甲子園での一勝だ。【辻本知大】 ◇沿革 1917年創立。男女共学で商業科、国際経済科、情報処理科がある。校訓は「士魂商才」「質実剛健」。野球部は21年創部で、センバツは32年に初出場。最高成績は春夏とも8強。OBに岡崎郁さん(元巨人)、源田壮亮選手(西武)、森下暢仁投手(広島)ら。大分市。 ◆花咲徳栄 埼玉県・私立 全国大会出場回数 春5回/夏7回 ◇強打健在 闘志泥臭く 2019年まで夏の甲子園は5年連続で出場し、17年夏には埼玉県勢初の全国制覇を成し遂げた。1試合限定のセンバツ交流試合にも、選手たちは「勝利にこだわる」と闘志を燃やす。 昨夏の甲子園経験者を中心に臨んだ秋季関東大会は、1回戦で拓大紅陵(千葉)に11―1でコールド勝ち。2回戦は準優勝した山梨学院に1―2で惜敗したが、強豪校の実力をのぞかせた。 昨秋の公式戦では、チーム打率3割9分の強打が光った。秋までに高校通算47本塁打を放った主将の井上朋也(3年)や攻守に秀でた田村大哉(3年)、打率5割2分9厘の浜岡陸(2年)らが打線を引っ張る。投手陣は、昨秋の公式戦で防御率1・13の安定感を誇った主戦の左腕・高森陽生(3年)、右腕の須田新太(3年)らが控える。 6月に交流試合出場が決定した際、野球部の寮で知らせを受けた選手らは「ありがとうございます」と落ち着いた表情で喜びをかみ締めた。抽選会で開幕試合を引き当てた井上は「スタートにふさわしい試合にしたい。勝利にこだわり、泥臭く1点ずつ取りたい」と意気込む。 新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月から部活動を自粛していたが、6月下旬に寮生と自宅生が合流し、全体練習を再開。3年生を中心にモチベーションは非常に高く、特に打撃練習に力を入れ、練習試合を重ねて実戦感覚を磨いている。 対戦相手の大分商について、岩井隆監督は「速球が持ち味の川瀬堅斗投手を中心に、非常に粘り強さがある」と分析。「甲子園は子どもたちを大きく成長させてくれる特別な場所。選手はタフに戦ってくれると信じている」と期待を込めた。【成澤隼人】 ◇沿革 1982年創立の私立共学校。野球部も82年に発足した。部活動が盛んで、女子硬式野球部は全国高校女子選抜大会で優勝3回。OBにプロボクシング元世界王者の内山高志さん、若月健矢捕手(オリックス)ら。昨夏の甲子園で3番の韮沢雄也選手がドラフト4位で広島入りした。埼玉県加須市。 ……………………………………………………………………………………………………… ※出場回数は今春のセンバツを含む