東洋大、執念でつないだ20年連続のシード権 箱根駅伝
◇第101回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)復路(3日、5区間109・6キロ) 【写真でみる】101回目の箱根駅伝 復路 ◇総合9位=東洋大(10時間54分56秒) 東洋大がチームスピリッツ「その1秒をけずりだせ」を体現したようなラストの粘りで、20年連続でシード権を確保した。 最終10区、4チーム中、1チームだけが脱落する激しいシード権争い。残り約1キロで、東洋大のアンカー・薄根大河は先にスパートを仕掛けた東京国際大の背中を懸命に追った。競り合っていた10位の帝京大に2秒、11位の順大に9秒先着し、9位でフィニッシュテープへ飛び込んだが、笑顔はない。その理由は「本当にずっと怖かった」。酒井俊幸監督と顔を合わせると、伝統をつないだ安堵(あんど)から大粒の涙を流した。 薄根はスパートに苦手意識があり、ラスト勝負を避けようとしていた。望まぬ展開になっても意地を見せた薄根に酒井監督は「正直きついと思った。チームのためにとか伝統を受け継ぐ意識とかが彼の背中を押したと思う」とたたえた。 東洋大は初優勝した2009年から19年まで11大会連続で3位以内を維持していた。20年以降、シード権ギリギリの10位を2度経験するなど厳しい戦いを強いられていたが、前回は4位と復調の兆しを見せ、今回は3強返り咲きを目指していた。 しかし、思うようには進まなかった。最大の誤算が主将の梅崎蓮だ。エース区間の2区に起用予定だったが、直前の12月末にアキレスけんを痛めた。強行出場も検討したが、途中棄権のリスクを考え、当日のエントリー変更で外す非情の決断を下した。酒井監督は「2区のエースの当日変更は初めてだったが、20年連続のシードがかかっていたから」と振り返る。 執念でつないだシード権の重みについて、酒井監督は「選手たちは大変さがよく分かったと思う。進化しなくてはいけない」。今回の経験を糧に次は守りではなく攻めの姿勢で強豪復活を目指す。【磯貝映奈】