LVMH の2023年決算報告で際立ったセフォラ。ポートフォリオへの影響力大
LVMHのポートフォリオにおけるセフォラの影響力は高まり続けている。
2023年、記録的な業績を上げたセフォラ
LVMHは、1月25日、2023年末決算報告で、セフォラが所属する事業部門のセレクティブ・リテーリングの売上高が前年比25%増の194億ドル(約2.9兆円)となり、ラグジュアリーコングロマリットのLVMHのほかの4部門を上回ったと発表した。セレクティブ・リテーリングに続いたのは、ファッション・レザーグッズ部門で前年比14%の増加、次がパフューム・コスメティックス部門で前年比11%の増加だった。セレクティブ・リテーリングには、旅行小売業のDFSとデパートのル・ボン・マルシェ(Le Bon Marché)などが含まれている。LVMHは2023年の全体的な売上高が937億9000万ドル(約13.9兆円)で、オーガニックベースで前年比13%増加したが、LVMHグループが2021年から2022年に報告した17%の成長を下回った。 LVMHは、セフォラにとって「売上と利益においてまたもや記録的な年」だったと社名を挙げて述べたが、正確な数字は明らかにされなかった。その「例外的な」販売実績は、北米、ヨーロッパ、中東全域で見られた。2023年のセフォラにとって目立った出来事には、2月にグロシエ(Glossier)を店舗で取り扱うようになったこと、8月にインフルエンサープログラムのセフォラサウンズ(Sephora Sounds)をローンチしたことや、9月にロイヤルティプログラムを刷新し、同月に消費者向けイベントのセフォリア(Sephoria)を復活させたことなどがある。 2023年9月、セフォラは、アルテミス・パトリック氏が、退任の意思を明らかにした現プレジデント兼CEOのジャン=アンドレ・ルージュ氏の後を継ぎ、4月に北米CEOに昇進することを発表した。グローバルマーチャンダイジング担当シニアバイスプレジデントのプリヤ・ベンカテシュ氏は、パトリック氏の後任として、10月2日にグローバルチーフマーチャントの役割に就任した。グローバル最高執行責任者のアレクシス・ローリエ氏は、1月1日付けで従来の職務に加えてラテンアメリカ地域の総括も担当している。また、1月22日には、セフォラに5年在籍したセフォラ・グレーター・チャイナのCEO、マギー・チャン氏が辞任した。後継者は発表されていないが、中国市場は激しい競争と軟調な経済情勢の中でセフォラの推進力となるのに苦戦している。