日系ブランドの巻き返し策と増えるPHEVモデルの進化…北京モーターショー2024
JAC(江淮) 瑞風『RF8』
北京モーターショー2024(Auto China 2024)が4月25日から5月4日までの会期で開催された。今回はコロナ禍の影響で4年ぶりの開催となったが、電動化大国ということもあり各社がこぞって先端技術や新型車両を展示している。また、中国の地場系ブランドのトップ陣が、それぞれ互いのブース(展示スペース)を見学し合う光景も見られ、最新技術を他社に先駆け実装化していく方向性を感じることができた。 主催者の発表によれば、コンセプトカー(概念車)の展示は41台、ワールドプレミア(世界初公開車)は117台、新エネルギー車(NEV、電気自動車等)が278台となった。隔年で開催している昨年の上海モーターショー(Auto Shanghai 2023。同64台、93台、271台)に比べ、将来的なコンセプトカーが減ったものの、市販化に向けた車両の展示が増えている。本レポートでは、実際に会場の各社ブースをまわり、会期中の現地報道・論調なども踏まえながら、今回のモーターショートレンドをお伝えする。 ◆日系ブランドの巻き返し策 “上海ショック”として、中国車の進化が日本の出遅れ感を表現したコロナ禍明けの上海モーターショー2023を経て、日系ブランドの「危機感」はどのような形で今回のショーに表れていたか、主要ブランドのハイライトを見ていこう。 トヨタは北京モーターショーの開幕日に、テンセントとのSDV(ソフトウェア定義の自動車)および自動運転に関する協力を発表した。テンセントの高級執行副総裁で、クラウド・スマート産業事業セクターを担当する湯道生CEOは、AIビッグモデル、クラウドコンピューティング、ビッグデータなどの最先端テクノロジーをトヨタ側に提供し、トヨタとともにSDVを推進すると表明。具体的には、中国のSNSであるWeChat(微信)を利用し、ユーザーの車と生活をモバイル端末を通じて接続する。これを足掛かりに、モビリティを通じたモバイルエコシステムの構築を目指していくという。一方、ブースの中央に展示されていた車両は新型の『ランドクルーザー プラド』であったが、地場系の車両が多く新型車を発表しており、競争が激しいセグメントでもある。 テンセントとトヨタ自動車が戦略提携 ホンダはモーターショーの開幕前から電動化ブランドである「イエ」の立ち上げ、第1弾となる『イエ P7』と『イエ S7』を発表した。両モデルは電動化専用のアーキテクチャーにより、乗用車とSUVの設計理念を融合させた。また、コンセプトモデルとなる『イエ GTコンセプト』をモーターショーで世界初公開した。外観デザインのダイナミックさと車室内の大きなスペースを確保し、2メーターパネルとコンソール大液晶画面、ヘッドアップディスプレイ(HUD)など、現在の中国車の主流なつくりとなった。他社との差別化をはかるべく、車載ジェスチャー制御機能もホンダとして初搭載した。イエシリーズは2027年までに中国において6車種の投入を予定している。 ホンダ イエ GTコンセプト 日産はコンセプトを含め新エネルギー車を5車種も発表。日産の内田誠 社長兼最高経営責任者は、今後3年間でこれらの車種が続々と市販化を開始し、BEVの『エポック』が中国で初めて販売する車種となるという。また、2026年度までに中国市場で製品構造を大きく転換していくことも表明している。さらに、中国市場はスピードを重視するとも語っており、現在の中国車の車両開発期間である18カ月という周期については非常にチャレンジングであると認識されている。この他、バイドゥ(百度)と協力し、百度生成式AI能力を中国市場の日産モデルに応用していくと発表している。 日産 エポックコンセプト マツダは初のBEVモデルである『EZ-6』を年内に発売するとともに、2モデル目のBEVコンセプトモデルである『創 ARATA(アラタ)』を発表した。マツダの毛籠勝弘社長兼CEOはパートナーである長安汽車との協力関係を重視し、今後も新エネルギーの新型車を発売していくと述べている。今回発表されたEZ-6は長安汽車のプラットフォームを活用する中で、マツダらしい外観デザインを採用するものの、車室内も含めた全体はパートナー側の長安 深藍『SL03』に近い仕上がりとなっていた。 マツダ EZ-6 ◆増えるPHEVモデルの進化 近頃、急速にPHEVモデルが増えている。今回の北京モーターショーにおいても多くのブランドでPHEVラインナップを展示していたが、そのうちの注目モデルを見ていく。
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レスポンス 八杉理@現代文化研究所