コンテスト通じて他事業所と交流 施設再認識し地域で考える介護 三重・御浜町
三重テレビでは、持続可能な社会を目指す、県内の取り組みを紹介しています。今回は、人手不足が課題となっている福祉・介護業界を盛り上げようという、県南部の紀南地域の取り組みを取材しました。 御浜町にあるグループホームひぐらしでは、認知症のある70代から90代までの18人が共同で生活しています。 その入所者の生活を支えているのが、22人の職員です。 グループホームひぐらしの田本政代さんは「やりがいは利用者の笑顔が見られること。元気をもらえるので長く続けられる」と、仕事のやりがいを話します。 一方で、福祉・介護業界は、他の業種に比べて人手不足が大きな課題となっています。 グループホームひぐらし管理者の大橋一智さんは「約5年前から求人をかけても人が集まらないことが増えてきている。辞める人の中には他業種に移るという人が出てきている。定着すると長く働いてくれる人が多いので、それに伴い平均年齢が上がっていくことが課題」と話します。
そのような中、人手不足の解消や職員の定着を図ろうと、今年初めてコンテストが行われ、紀南地域にある高齢者や障がいのある人たちを支援する6つの事業所が出場しました。 コンテストでは、それぞれの事業所で行われている利用者に寄り添う取り組みを発表し、福祉・介護現場の魅力を発信しました。 グループホームひぐらしは、「特に力を入れていることは、昔行っていたであろう懐かしい作業を高齢者にしてもらうこと。利用者の様子は毎月、手紙や写真で家族に知らせしている」と紹介しました。 コンテストの出場者は「実施していることを振り返り、大事にしているものを再認識しながらの作業だったのでとてもいい機会になった。アウトプットして知ってもらうことは大事だと感じた」「つい仕事に追われてしまうところがあるので、こういう場で意見を聞くと初心に戻りいろいろなことを感じる」と、感想を語りました。 審査員は、行政や教育福祉関係者に加えて、地元の高校生など職種や年齢も様々です。審査員を務めた高校生は「利用者との距離、心地良い介護を基準に採点した。自身も将来こういうところで働きたいという姿が描きやすくなった」と話していました。 介護・福祉現場で働く人たちが、仕事のやりがいや意義を見つめ直す機会にすることも、今回のコンテストの狙いでした。
イベントに参加したグループホームひぐらしの田代さんが「コンテストの準備でたくさんの写真を探した。笑顔が多くてこの職場はすごいなと思った」と話すと、福田さんは「利用者の年齢層も変わってくると思うので、新しいことを取り入れ検討していきたい」と話していました。 また、管理者の大橋さんは「今回のコンテストに参加して思ったのは、つながりが大事だということ。一事業所だけでなく紀南地域の介護という形で考えていきたい。その道筋の手助けになったらいいと思う」と地域の介護について語りました。