介護費や医療費だけじゃなかった「認知症介護で飛んでいく想定外のお金」月8万円の年金もすっ飛ぶ
【実体験】認知症介護で発生した「想定外の出費」3例
ここからは、認知症の母を介護中の筆者が今年経験した「想定外の出費」の中でも、インパクトが高かった3つについてお話ししましょう。 ●想定外の出費 その1「補聴器の買い替え」 今年に入ってから、5万円ほどする補聴器を立て続けに3度紛失した母。 初回購入時は自治体の「高齢者補聴器購入費助成制度」を使いましたが、利用できるのは一人1回限り。さいしょの紛失時はメーカーの紛失保証のおかげで助かりましたが、3度目はすべて自腹で支払うことに。 元来きちょうめんな性格だったので、これは想定外の出費でした。 主治医から「補聴器を買うときは紛失保証をつけたほうがいいよ!」と言われてはいましたが、「ああ、このことだったのか」と合点がいきます。 また加齢に伴う聴力の低下は、特に認知症の人にとっては要注意。 「家族との話題に入っていけない」「自分の悪口を言われているのではないか」という気持ちから、孤独感や疑心暗鬼を募らせ、気分の落ち込みや暴言に繋がってしまうことも。 筆者の経験上、補聴器のような取り扱いに注意を要する道具は、できれば認知面が低下する前に慣れておいてもらえると理想的かもしれません。スマートフォンやタブレット端末などもそうですね! シニアの親御さんには、元気なうちに「使えるデバイスを少しでも増やして慣れておいてもらう」ことを強くお勧めします。 ●想定外の出費 その2「電気代爆上がり。たぶんつけっぱなしが理由」 さて、母の年金口座の通帳を久しぶりに記帳したら、電気代の跳ね上がり方にビックリ! 1人暮らしの高齢者世帯、前年同時期には1万円台だったものが、今年の夏は3万円台、秋以降は4万円台にまでアップしていました。 「さすがにこれは、最近の電気代高騰とは別のところに原因があるはずだ……」 そういえば、最近は使っていない部屋の照明やエアコンなど、ありとあらゆる部屋で電気のつけっぱなしが見られるようになっていたことを思い出しました。 最初は「単純な消し忘れかな?」程度でしたが、実はリモコンやスイッチの扱いができなくなっていたことも大きな原因だったようです。 操作方法が分からなくなったり、指の力が弱くなりボタンが押せなくなってしまったりしたことも、つけっぱなしの原因だったのだと思います。 真夏に暖房をガンガン効かせ、テーブルの上の食べ物は傷みかけている、という日もあったっけ……(※)。 ※認知症の人の「見当識障害(自分のいる場所や、いまの季節や時間が分からなくなる)」は、筆者の母の例のように、本人や家族の日常生活にも大きな影響を与えます。 ●想定外の出費 その3「町内会に莫大な寄付金!?」 筆者が最も驚いたのは「町内会の寄付金」。毎年町内会の集金係さんに渡す、神社の夏祭りの寄付金です。 筆者が知る限りでは、母はこの手の寄付金には「ケチる」人で、過去30年以上いつも500円玉1枚だったはず。ところが今年は「金伍萬円」を渡していたのです! 例年の100倍となると、まさに「莫大な寄付金」ですね……。 のちに筆者はこれを、町会掲示板の「ご芳名欄」で知ることになります。 「通販で高額な買い物をしたり、オレオレ詐欺に騙されたりするとかじゃなくて良かったじゃん!」 と、家族で苦笑いしましたが、これをきっかけに、母の通帳・ハンコなどの貴重品は筆者が預かることに。手元に置いておく現金も「5万円以内」と決めました。