キャロットケーキが人気急上昇中!「キャロ活」するほどマニアもいる理由
【あの食トレンドを深掘り!】90年代に流行した「ティラミス」、数年前に話題になった「おにぎらず」、直近では社会現象にもなった「タピオカ」など、日々生まれている食のトレンド。なぜブームになったのか、その理由を考えたことはありますか? 作家・生活史研究家の阿古真理さんに、その裏側を独自の視点で語っていただきました。 ◇ ◇ ◇
キャロットケーキが今人気!
キャロットケーキを食べ歩く、「キャロ活」を楽しむ人が増えている。『クロワッサン・オンライン』(マガジンハウス)2023年6月16日配信記事では、キャロ活の魅力について、キャロットケーキ研究家のurara(うらら)、インスタグラマーのhamhamsweet(ハムハムスイート)が対談。キャロットケーキを毎日食べる2人は、店によって味や形が多様なところが魅力、と話し合う。小麦粉の種類、ニンジンの切り方、油、ドライフルーツやナッツ、表面にかけるフロスティングなど、材料の選び方も店によって異なる。形や大きさも違い、さまざまな個性が楽しめるという。 今は食べ歩けるほど、キャロットケーキを扱う店が多い。基本的に材料を混ぜて焼くだけ、と作り方がシンプルなため、手作りも人気だ。クックパッドの食の検索サービス「たべみる」でも、2019年から「キャロットケーキ」の検索頻度が上昇し、2023年は2019年の約1.5倍も検索されている。 私がキャロットケーキの存在を知ったのは、子ども時代にお菓子作りで使っていた森山サチ子のレシピ本で。1980年に出された改訂版だったので、昭和半ばには紹介されていたと思われる。しかし長らく、スイーツ店に並ぶことはほとんどなく、数少ないイギリスのスイーツを扱う店やイギリス式ティールームなどで見かける程度だった。 ポピュラーになったきっかけは、2011年に東京・丸の内で日本1号店を出したパリ発のオーガニックカフェ「ローズベーカリー」が提供し、人気になったこと。さらにコロナの少し前から盛り上がり始めたアフタヌーンティーを楽しむヌン活の影響もあり、スコーンに続いて流行し始めのだ。 ローズベーカリーがパリ発ということもそうだが、東京では特に、欧米発のスイーツはフランスが優勢でイギリス菓子は地味な存在だった。1990~2000年代のスイーツブームが、フランス菓子を中心に盛り上がったことも大きい。 それがなぜ今、キャロ活をする人たちが現れるほど人気なのか。念のため、そうしたファンを総称する言葉がないか探してみた。しかし、「キャロラー」は、クリスマスの讃美歌を信者の家を回って歌う教会活動をする人たちを指し、「キャロマニア」は、ゴルフブランドのキャロウェイのファンを指すそうで、決まった言い回しは今のところなさそうだ。