富山県の高岡駅前「焼き肉の街」に 続々オープン、半径200メートルに10店
富山県の高岡駅前にある繁華街で、焼き肉店が増えている。ライバル店が少なく“穴場”とみて参入した店や、換気設備が整っているとして新型コロナウイルス禍に居酒屋から業態を変えたケースがある。店主からは「焼き肉の街」としての盛り上がりを期待する声も聞かれた。 県飲食業生活衛生同業組合や高岡市によると、高岡駅前の繁華街には、ジンギスカンやホルモンの店を含め、半径約200メートルのエリアに焼き肉店が10店舗ほどある。このうち大半がここ数年で相次いでオープンしているという。御旅屋町でバーを経営する同組合の梶川繁洋理事長(61)によると、経営者の高齢化などで減少傾向にあったが、ここ10年ほどで増加に転じたという。 「焼肉ホルモン酒場マーシー家」(御旅屋町)はバーから業態転換し、今年4月に開業した。街中に焼き肉店が少なく、勝算があると考えた。 オーナーの中村昌史さん(38)は、街中で開業するメリットについて「ファミリー客が中心の郊外に比べアルコールを注文する人が多く、客単価が上がる。小規模事業者には向いている」という。
2022年10月にオープンした「焼き肉kado(カド)」(同)も、元は居酒屋ダイニングだった。店の改装を考えていた矢先、新型コロナウイルスが流行。空調がしっかりした焼き肉店であれば感染対策になると考え、思い切ってリニューアルした。 周辺にライバル店が増える中、SNS映えや独自性を意識したメニューで差別化を図る。店長の渋谷康治さん(45)は「食べ比べを楽しんでもらい、街中が焼き肉でにぎわえばいい」と期待する。 飲食店が多いエリアでの出店は、煙によるトラブルの心配が少ないという声もある。「とんぼ」(桐木町)は、郊外での出店を経て、21年10月に現在の場所に移った。オーナーの村田修次さん(58)は「住宅街だとどうしても煙の苦情が多かった」と振り返る。 県飲食業生活衛生同業組合の梶川理事長は、中心市街地の人出は新型コロナ禍前の水準に戻りつつあるとし、「若者の出歩きも増えている。焼き肉店の増加によってにぎわいが加速すればいい」と話した。