新NISAで人気の「NTT株」が5月から急落した深層 個人株主は急増も、海外投資家と思惑のズレ?
■具体的な成長戦略が見えづらい NTTは2023年に発表した中期経営戦略において、成長分野に5年で約8兆円を投資し、2027年度にEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)を4兆円(2022年度は3.3兆円)に拡大する目標を掲げた。 注力する次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」を着実に前進させつつ、金融など非通信事業の強化や、データセンターの拡張を成長の軸に据える。ただ、こうした中長期的な成長戦略が「具体的に競争力がある形になるかが見えない」(松井証券の窪田氏)部分もある。
株主総会で島田社長は、数週間前にグループ約950社による社長会を開催したことに触れ、「各社の社長も気合いを入れて、中期経営戦略を着実に進めることにベクトルを合わせてきた。しっかり業績を高めて株価を上げるように一生懸命努力したい」と決意を示した。 新NISAを代表する株式銘柄となり、個人株主を含め多くの投資家から期待を背負うことになったNTT。今後、成長戦略をより具体化させ、株価を反転回復させていけるかどうかが問われることになりそうだ。
茶山 瞭 :東洋経済 記者