協力金「ありがたいが、いつ入金?」 東京都の休業要請に応じた事業者ら
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐべく、東京都が行った休業要請に全面的に応じた中小事業者らへの「感染拡大防止協力金(最大100万円)」の支給が11日から始まりました。同日時点で申請件数は約6万9000件に上りますが、初日に支給されたのはその0.5%にも満たない250件ほど。事業者からは、協力金を歓迎する一方、対応の遅さに気をもむ声も上がっています。
感染拡大防止協力金は、緊急事態宣言の期間に都による休業要請に全面的に協力した中小企業、個人事業主が申請のうえ支給される事業。支給金額は都内に1店舗を有する場合は50万円、2店舗以上の場合は100万円です。本社が東京になくても支給対象になります。
「来週には必要」
事業者側からは、協力金を歓迎する声が上がっています。 墨田区で古書店を経営する50代男性は、都の休業要請を受けて4月16日から店を休業中。「協力金は、家賃やスタッフの給与など経費の助けになりますので、ありがたい」と話し、協力金の支給を前提に直近の事業維持を考えています。それだけに、「5月20日以降には仕入れなどの支払いがありますので、それまでに都から入金があるのかが気がかりです」と入金時期を気にしていました。 都の担当者は、取材に対し、支給が開始された11日以降の支給状況について「現在、振り込みが実際にできているかどうかを確認中。11日よりも支給件数は増えているが、もう少し時間が経たないと支給件数は分からない」と話します。 都は、5月7日から31日まで休業・営業時間を短縮した事業者についても、同じ条件で第2弾の協力金を支給する方針です。6月に開かれる都議会の定例会に関連議案を提出する予定ですが、男性は「5月末まで休業を延長した挙げ句、協力金の追加はやっぱりできない、ということにならないか。やるのかやらないのか、早く決めてもらいたい」と不安を訴えました。
可否の連絡、早くして
申請者の中には、都の対応の遅さを指摘する人も。東京都台東区の浅草で、かつらやかんざし、舞台化粧品の専門店3店などを経営するコマチセンター社長の岩崎孝俊さん(50)は、「都から、支給が決定したかどうかの連絡がまだありません」と困惑気味に話します。岩崎さんは顧客や従業員の安全を考慮したほか、都の緊急事態措置を受けたこともあり、4月16日から全店舗を休業しました。 申請前から気がかりなのは、かつらやかんざしを扱う自分の店が支給対象なのかどうか。支給対象施設は都のサイトに掲載されていますが、すべてが網羅されているわけではありません。都の相談窓口にも問い合わせましたが、「対象かどうかの判断がつかないので、まずは申請してほしい」と回答されたため、ともかく申請することにしました。 書類は、受け付け初日の4月22日に提出。都から届いた受理メールには、「審査が完了したら正式な結果を知らせる」旨が記されていましたが、13日時点で連絡はなく、協力金の振り込みもないとのことです。店は今も休業中で、岩崎さんは「早く都からの返事がほしい」と待ちわびていました。
都「今後はピッチ上げる」
都の担当者によると、協力金は審査が終わり次第、順次支給していると言います。審査には、産業労働局の職員に他の局からの応援も加えた約100人が従事。ゴールデンウィーク中も審査を進め、なかには連休中も働きづめの職員もいたそうです。担当者は「今後はもう少し支給ピッチを上げて、協力金を極力早くお届けしたい」としていますが、約6万9000件という申請件数を考えると、支給完了までの道のりは長そうです。 (取材・文:具志堅浩二)