新型コロナ特措法の「緊急事態宣言」とは? 市民生活にどんな影響がある?
「要請」に従わなければ「指示」も可能
ここまでは「要請」のみでしたが、施設の利用制限について、正当な理由なく「要請」に応じない場合、知事は「指示」をすることができます。ただ罰則などの強制力はありません。 【施設利用制限の指示】(同45条3項) 正当な理由がなく要請に応じないときは、必要があると認めるときに限り、施設管理者らに対して、指示することができる。 また、知事は緊急物資や医薬品などの運送も「要請」「指示」することができます。 【緊急物資の運送】(同54条) 知事は、運送事業者である指定公共機関などに対し、必要な医薬品や緊急物資の運送を要請することができる。正当な理由がなく要請に応じないときは、指示することができる。
医療提供をめぐっては「強制性」「罰則」も
一方、医療提供体制の確保に関しては、強制性や罰則を伴うケースがあります。 知事は、臨時の医療施設を建設する際、土地などを強制使用できるほか、医薬品やマスクなどの売り渡し要請に企業などが応じない場合、強制収用できます。土地の立ち入り検査に応じない場合や、医薬品などの保管命令に従わなかった場合には罰金などを課すことができます。 【医療施設用の土地使用】(特措法49条) 知事は、臨時の医療施設を開設するため、土地や建物などを所有者らの同意を得て使用することができる。所有者らが正当な理由がなく同意をしないときや所有者の所在が不明な場合は、同意を得ないで土地などを使用することができる。その土地や建物などに立ち入り検査を拒んだり、虚偽の報告をしたりした場合は30万円以下の罰金に処する。 【医薬品の売り渡しや保管】(同55条) 知事は、医薬品や医療機器、食品などについて、企業などに対して、これらの売り渡しを要請することができる。正当な理由なく要請に応じないときは、これらの特定物資を収用することができる。 知事は、特定物資の生産や集荷、販売、輸送などを行う企業などに対し、保管を命ずることができる。この命令に従わず、隠したり、廃棄したり、搬出したりした場合は6月以下の懲役または30万円以下の罰金に処する。また保管状況の立ち入り検査を拒んだり、虚偽の報告をしたりした場合は30万円以下の罰金に処する。