新型コロナ特措法の「緊急事態宣言」とは? 市民生活にどんな影響がある?
「緊急事態宣言」=「ロックダウン」ではない
新型コロナウイルスに対応するために特措法が改正された際、この改正法の適用期間は、政令によって2021(令和3)年1月31日まで、と定められました。 政府はこの改正特措法の成立を受け、3月26日に「対策本部」を立ち上げ、「基本的対処方針」を取りまとめました。これには新型コロナウイルスの発生状況や対策の概要などが記されています。 今後、安倍晋三首相は感染症の専門家らによる「諮問委員会」の助言を受け、「緊急事態宣言」を出すかどうか判断していくことになります。首相は3日の参院本会議で「現時点ではまだ、全国的かつ急速なまん延という状況には至っておらず、ぎりぎり持ちこたえている」との認識を示しています。 感染が全国的に広がる中で、各知事からはすでに「外出自粛やイベント自粛の要請」が出されていますが、政府による「緊急事態宣言」が出されるのかどうかに注目が集まっています。
「緊急事態宣言」に加え、東京の「ロックダウン(都市封鎖)」も取り沙汰され、より強い対策としてこれらの実施を求める声がある一方、欧米の主要都市のような「ロックダウン」を想起して心配する声もあります。 ただ、日本において「ロックダウン」は行政用語として明確な定義はないほか、これまで見てきたように「緊急事態宣言」も、市民生活に対して罰則などの強制力をもった対応は想定されていません。 そもそも特措法を根拠とする「緊急事態宣言」と明確な定義のない「ロックダウン」は別のものです。「緊急事態宣言」は「要請」と「指示」をベースとしたものがほとんどで、強制力がないことに注意が必要です。 現に、安倍首相も国会で「『緊急事態宣言』がただちに『ロックダウン』ではなく、特措法の下では、フランスのような(強制力のある)『ロックダウン』はできない」という趣旨の答弁をしているほか、東京都の小池百合子知事も「ロックダウン」について記者会見で「日本では、特措法(緊急事態宣言)でも、現状(の要請)でも『お願い』ベースになっている。交通機関が止まるということもない」と説明しています。