AIの学習データをめぐる競争 アップルとシャッターストック提携などに見る競争激化とその最新動向
ニューヨーク・タイムズ紙はオープンAIとマイクロソフトを著作権侵害で提訴
アメリカでは、この論争が訴訟に発展している。 昨年末、ニューヨーク・タイムズは著作権侵害でOpenAIとマイクロソフトを訴え、同社の大量の記事が、チャットボットのトレーニングに使用されていると主張。数十億ドルの損害賠償と同社のコンテンツを含むAIモデルの破棄を求めている。 シカゴ・トリビューン、ニューヨーク・デイリー・ニューズなど米地方紙8社も、オープンAIとマイクロソフトに対し、生成AIのトレーニングに数百万の記事の無断使用され、著作権が侵害されたとして、損害賠償記事の利用停止やデータの破棄などを求めてニューヨーク州連邦地裁に提訴した。この動きは作家やノンフィクション作家などにも広がっている。
急速に発展するAIデータ市場、新たに生じる懸念
AIトレーニングデータ市場は、Business Research Insights社によると、現在約25億ドルの価値があると推定され、10年以内に300億ドル近くまで成長すると予測されている。 当然、このようなデータの持つ価値に各方面から強い関心が集まっているものの、著作権問題だけでなく、オンラインサービス利用者のプライバシーとデータの権利に対する影響など、この市場に関連して発生する問題に対する懸念は払拭されてはいない。 その利便性で次第に生活や仕事の必需品となりつつあるAIだが、様々な側面で適切な法整備やガイドラインの作成が求められている。
文:大津陽子 /編集:岡徳之(Livit)
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