「2000歩で寝たきり」「5000歩で心疾患や脳卒中」最新研究で判明した病気を予防する歩数の目安。しかし、12000歩は…
『百歳まで歩ける人の習慣 脚力と血管力を強くする』#1
「人生100年時代」といわれるほど平均寿命が伸びている現代では、介護が不要な状態を保つ「健康寿命」を延ばすことがより重要であるという認識が高まりつつある。そのために必要になってくる「自分でしっかり歩ける」ことだというが、いったいなぜなのか? 【図】1日あたりの歩数と予防(改善)できる可能性のある病気・病態 『百歳まで歩ける人の習慣 脚力と血管力を強くする』(PHP新書)より、一部抜粋・再構成してお届けする。
「バランス機能」は加齢とともに低下する
健康な人であれば、「歩く」という行為は毎日、自然に行っていますが、じつはちゃんと歩くためには、大変多くの要素がクリアできなくてはなりません。 いわゆる正常な歩行をするためには、さまざまな器官が私たちの体を調節しています。その要素としては、次図にあるように、歩く際の「外界への適応機能」「運動機能」「バランス機能」が重要になります。 なかでも、私たちが重要視しているのは「バランス機能」です。これは、いわゆる平衡感覚のことです。 人間は、地上で重力に逆らって歩いています。ですから、空間における自分の位置の変化を認識して、適切な状態を保つ必要があります。 この機能は、生まれてから成長する段階で徐々に習得しますが、加齢とともに低下していきます。そのため、これを維持する努力が必要になります。
歩行を支える、目、耳、皮膚、筋肉、関節
正常な歩行に大きく関係する器官としては、目、耳、皮膚、筋肉、関節などがあげられます。 目は、自分の位置やバランスを視覚で感知します。耳は、前庭機能(平衡感覚の調節機能)が頭部の重力面に対する位置の変化を感知します。 そして、皮膚、筋肉、関節などは、位置覚(体の各部分の位置をつかむ)、運動覚(運動の状態を感じ取る)、抵抗覚(押したり引いたりするときの力を感じ取る)、重量覚(物の重さを感じ取る)など、固有感覚(体がどのように動いているかを知覚)の経路が正常に機能する必要があります。
正常なバランス機能の確かめ方「開眼片足立ち検査」
ただ、これらの機能を正確に評価するのはむずかしく、私たちはこのバランス機能をおおまかに評価できる指標として、「開眼片足立ち診断」に注目しています。 目を開けたまま片足立ちがしっかりできれば、通常の歩行も支障なく行えると考えているのです。 厚生労働省の生活習慣病予防のための健康情報サイト「e–ヘルスネット」には、テストのやり方について次のように説明されています。 「開眼片足立ちの測定は、壁から50㎝程度離れた位置で壁に向かって素足で立ち、両目を開けたまま両手を楽に下げ、左右どちらかの足を前方に5㎝程度上げる方法で行います。床に着けている『支持足』がずれるか、支持足以外の体の一部が床や壁に触れるまでの時間を最大1分まで測り、記録します」 1分間しっかり立つことができれば、バランス機能は良好といえます。