介護保険受給者の割合は80歳以降に急増…80歳時点で貯金がいくらあれば100歳まで安心して過ごせるの?
介護費用はいくら準備すべき?
80歳以降になると介護を必要とする人が増加します。ここでは、介護を受ける人の割合と介護費用について解説します。 ●介護保険受給者の割合は80歳から急増 介護が必要になるかどうかには個人差がありますが、80歳以降になると介護保険の給付を受ける人は右肩上がりに増えます。以下は、厚生労働省の介護給付費等実態統計より、人口に占める介護保険受給者数の割合です。 ・65歳から69歳:男性2.3%・女性1.8% ・70歳から74歳:男性4.4%・女性3.9% ・75歳から79歳:男性7.9%・女性9.1% ・80歳から84歳:男性14.8%・女性21.0% ・85歳から89歳:男性28.2%・女性42.3% ・90歳から94歳:男性46.6%・女性64.4% ・95歳以上:男性71.0%・女性88.0% 介護保険の受給率は男性より女性が高いことがわかります。また、95歳以上になると男女とも大多数が介護保険の給付を受けることになります。 ●介護にかかる費用はいくら? 次に、介護にかかる費用について見ていきましょう。 生命保険文化センターが実施した調査によると、公的介護保険サービスの自己負担費用を含む介護に要した費用の平均額と期間は、以下のとおりです。 ・一時的な費用(住宅改修や介護用ベッドの購入など):74万円 ・月々の費用:8万3000円 ・介護期間:5年1ヵ月(61.1ヵ月) 以上から、平均的な介護費用は以下のように計算できます。 74万円+(8万3000円×61.1ヵ月)=581万1300円 夫婦世帯であれば、2人分で1162万2600円となります。 80歳時点の貯蓄額は、年金収入からの不足分と介護費用の合計から必要額を計算していきましょう。
無理のない範囲で老後資金を準備しましょう
80歳から100歳までの20年には世帯によっては数千万円の準備が必要となりそうです。時間をかけてコツコツ準備する必要がありますが、現役時代の生活を犠牲にしてまで貯蓄をするのは本末転倒です。家計を見直し、無理のない範囲で老後資金準備に回せる金額を決めて、着実に準備していきましょう。
参考資料
・厚生労働省「令和4年簡易生命表」概況版 ・厚生労働省「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」 ・総務省「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」 ・厚生労働省「令和4年度 介護給付費等実態統計の概況」 ・生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
松田 聡子