介護保険受給者の割合は80歳以降に急増…80歳時点で貯金がいくらあれば100歳まで安心して過ごせるの?
人生100年時代といわれる今日、80歳を迎えてもまだ20年以上の人生が待っています。長寿は喜ばしいことですが、年金だけでは生活できない点や医療費や介護費用がかかってくるため、多くのお金が必要です。 ◆【一覧表でチェック】老後の「年金額・生活費」と介護保険受給者の割合 この記事では100歳まで安心して暮らすためにいくら必要かをデータを参考にして試算していきます。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
人生100年時代、日本人の寿命の伸びを確認
最初に、厚生労働省の「令和4年簡易生命表」のデータから、男女別の日本人の寿命について確認していきましょう。 上記の表から90歳の平均余命は男性4.14年、女性5.47年となっています。 また、90歳時点で生存する人の割合は男性で約4分の1、女性は約半数です。さらに女性は95歳時点で約4分の1が生存しています。 これらのデータから「人生100年」は決して他人ごとではなく、誰もが人生設計で念頭に置く必要があるといえるでしょう。
80歳から100歳まで安心して生活するにはいくらあればいい?
80歳時点で必要な貯蓄額を考えるには、80歳以降の家計の収支を確認しましょう。 ●公的年金はいくら受け取れる? リタイア後の収入の柱である公的年金は、いくら受け取れるでしょうか。受け取れる公的年金は自営業などであれば国民年金(老齢基礎年金)のみ、会社員・公務員は国民年金と厚生年金を受け取れます。ここでは、厚生労働省のデータから男女別の公的年金の平均額(月額)を紹介します。 国民年金 ・男性:5万8798円 ・女性:5万4426円 国民年金+厚生年金 ・男性:16万3875円 ・女性:10万4878円 国民年金は保険料が一律で保険料を納めた月数で年金額が決まるため、受給額に男女差はあまりありません。一方、厚生年金は収入によって納める保険料が決まり、受給額は納めた保険料と加入期間によって決まります。そのため、一般的に収入額の多い男性の年金額のほうが女性より多くなると考えられます。 夫婦世帯の場合、夫婦ともに国民年金のみであれば世帯の年金収入は平均で月額11万3224円(5万8798円+5万4426円)です。また、夫婦ともに厚生年金に加入していた場合は、世帯で平均月額26万8753円(16万3875円+10万4878円)受け取れます。 より具体的な金額はねんきん定期便、ねんきんネットで確認しておきましょう。 また、公的年金からは所得税、住民税、健康保険料、介護保険料が差し引かれます。それらを差し引いた手取り額は国民年金のみの人で年金収入の約95%、厚生年金も受け取れる人で約90%を目安と考えます。 ●80歳以降の生活費はいくらかかる? 続いて、80歳以降の生活費を見ていきましょう。総務省の2023年の家計調査報告による世帯主が65歳以上の高齢者無職世帯の消費支出の平均は、以下のとおりです。 ・夫婦高齢者無職世帯:25万959円 ・高齢単身無職世帯:14万5430円 この金額はあくまでも平均なので参考にとどめ、現在の家計支出をもとに実際の支出を見積もるとよいでしょう。 おおよその家計支出が計算できたら、年金の手取り収入から差し引きます。 たとえば、夫が厚生年金あり、妻が国民年金のみの世帯であれば、世帯の年金の手取り収入の見込み額は以下のように計算できます。 16万3875円×90%+5万4426円×95%=19万9192円 手取り収入から消費支出を差し引いた家計収支は、以下のように求めます。 19万9192円―25万959円=▲5万1767円 この結果から、この世帯の家計収支は毎月約5万円の赤字になると考えられます。この赤字額の20年分は、80歳から100歳までの生活費の不足分として準備しておきたいところです。 5万1767円×12ヵ月×20年=1242万4080円 この世帯の80歳から100歳までの生活費の不足分は、約1200万円と考えられます。 この金額はあくまで一例ですが、ここまでの計算手順を参考に各家庭に必要な貯蓄額を見積もってみてください。