世界で活躍する研究者が行っていた「パフォーマンスを最高レベルに高める」習慣
自信をつけることでマイナス部分も受け入れられる
彼の、自分自身のマイナス部分を受け止める力は、仕事をこなす技術とはまったく関係のない「人間としての自信」に由来しています。ゆるぎない自己肯定の基盤を持っているからこそ、自分のマイナス部分も悠然と受け止め、分析することができます。 そして彼は、そこからいくらでも成長していくことができたのです。ということで、自己分析を始める前に、自分のプラス部分とマイナス部分を正確に把握するための、「人間としての自信」を築いていくことを提案したいと思います。 自信を築くためによく効く方法を紹介しましょう。まずは、自分の最も嫌いな部分、それも思い出したくもないような後悔している出来事を、どんどん挙げていきます。 次に、それらを徹底的にポジティブに捉え直していくのです。この方法は、臨床心理における認知行動療法でよく使われる「系統的脱感作」に近いものです。精神的にしんどい作業かもしれません。 でも、この作業によって、プラスがゆるぎないものになったら、あなたはもうどんなことにも動じません。時間はかかるかもしれませんが、この先いくらでも飛躍していける、成長の基盤を手に入れたも同然なのです。
自分を追い込むことで成果を残してきた
ドイツ人のEさんは、神経内科の優秀な医師。研究に対する意欲が高く、臨床もこなしながら、研究者としてのキャリアを積み上げていっている女性です。出る必要のない学会でプレゼンをする機会を作ってみたり、なんだかんだと研究会に出かけていったりして、アスリートのように自分を追い込みながら仕事をするスタイルをとっていて、そこでいつも人並み以上の成果を出していました。 自分にプレッシャーをかけるのが好きな性格なのかもしれません。ここで、「ヤーキーズ・ドッドソンの法則」という心理学の基本法則を紹介したいと思います。 「覚醒レベル」と「学習パフォーマンス」の間に逆U字曲線型の関係があることを明らかにした法則です(図1を参照)。心理学者のヤーキーズとドッドソンが、ネズミを使った実験で発見しました。 この法則が示しているのは、極端にストレスがなさすぎる場合や、逆にものすごいプレッシャーがかかり、ストレスにさらされている場合には、記憶や知覚のパフォーマンスが低下してしまうこと。 逆に、適度なストレスが学習パフォーマンスを最高レベルに高めてくれるのです。この法則はネズミだけでなく、人間にも当てはまります。一時的な感情によるストレスと、知覚や記憶のパフォーマンスとの間には、このような関係が成り立つと考えられています。