暑いと株価も上がる?「ラニーニャの夏」を気象庁データと日経平均株価から調査した結果
ところで気になるのは、6月のデータです。ラニーニャの6月の平均騰落率は0.54%となりました。これは母数の6月平均の0.75%を下回っています。ラニーニャの6月はそうでない6月と比べると株価が上がりにくいことを示しています。 この理由は梅雨(つゆ)と関係しています。ラニーニャの発生は東南アジア近海の海水温が上昇することが原因です。そして、梅雨の時期に暖かい海水により、たくさんの水蒸気を含んで温められた空気が上昇して積乱雲が発生しやすくなります。これが日本で多くの雨をもたらす原因になるのです。
雨が多いと、雨具などの売れ行きは上がります。しかし、行楽地などへの外出が控えられてトータルで見ると消費が伸び悩む原因になります。景気へのマイナス影響から、ラニーニャの6月は株価の上昇も抑えられる傾向があるのです。 ところで、もう1つ注意が必要なポイントを紹介しましょう。これまでは、ラニーニャを通じて“夏が暑いと株が高い”関係を紹介しました。しかし、実は夏があまりにも暑すぎると、逆に株価が下がってしまう傾向があります。
1970年以降の集計で、最高気温が35度以上の猛暑日が月に5日以上あった7月の日経平均株価は平均で-2.89%と下落しました。8月も同じように-0.94%と下落です。 ■暑すぎると今度は株安の原因に 夏本番が暑すぎるとエアコンの利いた室内にこもりがちとなり、外出が控えられてしまいます。これが消費にネガティブな影響となり、株安の原因にもなります。 ちょっと微妙な関係まで細かく説明したので、最後に、いま一度、整理してみましょう。ラニーニャの6月は雨が多く株安となりますが、暑い真夏となる7月と8月は株高の傾向となります。
しかし、その7月と8月も、猛暑日が月に5日以上となるように暑すぎると、株安になってしまいます。 民間の天気予報機関などからの発表では、今年の夏は記録的な暑さになるとの予想も見られています。ちょっと注意しておく必要もありそうです。
吉野 貴晶 :ニッセイアセットマネジメント 投資工学開発センター長