「発掘」から「選択」へ 和歌山県がアスリート育成
小中学生に複数のスポーツ競技を体験してもらい、自身の運動機能の適性を知った上で競技を選択し、トップアスリートを目指してもらおうと、和歌山県が新たな取り組みを展開している。優れた素質がある子を発掘・育成する従来の事業とは異なる形で、各競技力の向上を図っていく。 【人口減、防災どうする 和歌山県知事と紀南の市町村長が懇談の記事はこちら】 「県スポーツマッチングプロジェクト『やっCha(ちゃ)る』」と名付けた取り組み。 小学3年生から中学2年生までを対象とし、さまざまな競技を体験してもらう。そこでの指導者側の評価や自身の特性を踏まえた上で、各競技団体による練習会に参加し、その後、選手への道を進んでもらうという流れを目指す。 県は2006年度から、早期に人材を発掘し、育成する「ゴールデンキッズプロジェクト」を続けている。これまでに561人が修了し、日本代表選手や全国大会の優勝者が生まれているが、認定の対象者を小学3、4年生に限定しており「有望株を選ぶ」という側面が強かった。 ■小中学生に新企画 体験会に463人 一方、今回の取り組みは「子どもたちに選んでもらう」という視点を意識している。小中学生がやってみたい競技や、各校で受ける新体力テストの結果を踏まえ、希望する競技に加えて「お薦め競技」も一緒に体験してもらうところからスタートする。 取り組みを始めるに当たり、県は今夏、県内の対象全員の約4万6500人に案内チラシを配布。11月から12月にかけて白浜町と和歌山市で計3回開いた体験会への参加を募ったところ、計463人が集まった。 本年度の対象競技は陸上競技やフィールドホッケー、ハンドボール、アーチェリー、フェンシングなど九つ。国民スポーツ大会で実施されている41競技の団体に声をかけ、手を挙げた20団体から指導態勢などを聞いた上で決めたという。今後、対象競技を増やすことも検討する。 県が関与するのは、各競技団体による練習会に子どもたちが参加するまで。その後の育成や強化は各団体が担うが、県スポーツ課では「ゴールデンキッズプロジェクトで蓄積してきたものを提供し、行政としてしっかりサポートしていきたい」と話している。
紀伊民報