森田想、話題の映画『辰巳』で“唯一無二のヒロイン”を体現。当時19歳…暴力シーンでは青アザも「あの年の自分にしかできなかった」
――葵ちゃんは、それこそ悪いことも平気でさまざまなトラブルを起こしてしまいますが、それでも自分が正しいみたいな感じで主張できるのはすごいなと思いました。 「自分は普通に受け入れてやっちゃっていたので、それこそ今いろんな感想をもらって、たしかになあとは思うんですよ。葵ちゃんがどういう背景であそこまで突き進んでいて、どう考えていたのかって。 映画っていろんな人の人生の一部分を切り取るものだと思っているので、それで言うと、そこだけを見て楽しむのも良しだし、そうやって考えるのも楽しいことだし…受け取り方で変わるなと思って」 ――葵ちゃんは怒りの塊みたいな感じで、この怒りはどこから来るのか。まるでむき出しの刀みたいだと思いました。 「そうでしたよね。ただでさえ鬱憤も溜まっていたのに、最愛のお姉ちゃんを殺されて復讐することに。よほどお姉ちゃんが好きだったんでしょうね」 ――圧倒的な存在感でした。撮影時にまだ19歳だったと知って驚きました。 「ありがとうございます。あの年の自分にしかできなかったなと、今は思っています。今だったらできないです」 ――殴られたり突き飛ばされたり…という暴力的なシーンも結構ありましたね。 「痛かったです(笑)。痛かったけど、アドレナリンもすごく出ているから、別にそこは何も気にならなかったです。お風呂に入ったときに、あちこちが青くなっていることに気づくという感じで(笑)。でも、ケガをするようなアクションではなくて、しっかり考えたアクションをしていたので、自分がやりすぎて暴れすぎたのかなって(笑)」 ――葵ちゃんのイメージを伝えるときに、監督はクリステン・スチュワートの写真を森田さんに見せたとか。 「そうそう、私はクリステン・スチュワートが、この世で一番本当に大好きなんです。私は『辰巳』のために髪を切っているんですけど、小路さんがその髪と衣装のアイデアとして、見せてくれた中にクリステンの写真があって。 それがショートヘアのクリステンが緑色のニットを着てしゃがんでいる写真で、私も持っている好きな写真だったんです。『私もそれならあります!』って言って小路さんとハイタッチしました(笑)。それでイメージがつかめたなって。 私はやっぱり外見、衣装と髪型とかっって、すごく大きく作用しちゃうので、そこはありがたかったですね。実際にアウトローな世界に身を置いているわけではないので、違和感のないようにはしたいなと思っていました」 ――東京国際映画祭のときに監督が外国人の審査員の方から「女性に対する暴力が許せない」と言われたので、一生懸命傷つけないように撮っていたと説明したと聞きました。 「シンプルに暴力が嫌いな人はそうでしょうね。でも、映画祭のアフターパーティーでニューヨーク映画祭の人としゃべっていたのですが、『おもしろかった』と言ってくれて、めちゃくちゃ興奮していました。 独特のジャパニーズ・ノワールというか、世界観があるから、それはそれで外国人でも好きな人はたまらなく好きだろうなあって思いました」 ――森田さんは、英語も韓国語もものすごく堪能だと聞きました。どのようにして習得されたのですか? 「韓国語は全然、日常会話というか、旅行ぐらいのレベルなんですけど、英語も韓国語もドラマと映画からだけですね。あと、英語は学校で習うので英検を受けたりしていました。学校の英語の授業が本当に得意で、スピーキングの授業のときに、課題文、英文があって、誰が一番早いかというのは絶対に1位でした(笑)」 ――いずれ海外の作品ということも? 「簡単なことではないですし、まずは日本での知名度を上げたいので、今はまだ海外の作品のことは考えてないです。タイミングがあったときにという感じです」 作品ごとにまったく違う顔を見せる森田さん。華奢で無邪気な姿からは想像できないほど圧倒的な存在感とパワーがスクリーンに漲る。近年の活躍ぶりは目を見張るものがあるが、本人はまだまだ足りないと意欲満々。勢いが止まらない。(津島令子) ヘアメイク:齋藤美幸 スタイリスト:入山浩章
【関連記事】
- 【インタビュー中編】森田想、記憶に残る役に次々チャレンジ。女同士の壮絶な殴り合いシーンでは「段取りより多くなってしまって(笑)」
- 【インタビュー前編】森田想、18歳でレッドカーペットを歩く注目女優に。中学生でメインキャストになれなかった悔しさから奮起「すべてがいい経験」
- 俳優・遠藤雄弥、自分の言葉が原因で仕事ゼロになった20代半ば。家賃も払えないどん底を救った1本の映画
- 富田望生、デビュー作では15kg増量の役作り。役によって体型も容姿も自在にアプローチ「形から入ることがひとつの方法」
- 佐津川愛美、清純派から一転…転機になった“陰キャ役”。長時間におよぶ壮絶なお風呂シーンでは「具合が悪くなって(笑)」