弾劾と中国に足を引っ張られる韓国半導体…結局「ナンバー3」の座を奪われた
韓国が非常戒厳と弾劾で10日以上混乱を繰り返す間にも世界の半導体産業の時計は回っている。韓国企業と競争する米国と台湾の半導体企業は急速に事業領土を広げて飛び回っている。半導体産業のパラダイムが人工知能(AI)中心に転換する時期に、場合によっては韓国半導体だけ後退するという懸念が出ている。 ◇エヌビディアとTSMCの次はここ 13日に米ファブレス(半導体設計専門)企業ブロードコムの時価総額が過去初めて1兆ドル(約153兆円)を突破した。エヌビディアとTSMCに続き世界の半導体企業で3番目に時価総額1兆ドルを達成した。前日の業績発表でAI関連売り上げが前年比220%急増した成果が公開されると投資家が集まった。 ブロードコムは多様な分野の半導体を設計・開発(ASIC)する「半導体注文製作の達人」だ。もともと売り上げの半分以上が通信用ネットワークインフラ領域から出た。だがAIアクセラレータ市場をほぼ独占するエヌビディアに対する依存度を下げようとするグーグル、アマゾン、アップルのようなビッグテックが先を争ってブロードコムと組んで新たな機会の扉が開いた。半導体業界関係者は「ブロードコムはチップとチップを連結する技術分野で圧倒的な競争力を持っている。AIでこの技術が重要になりブロードコムにも全盛期が訪れたもの」と話した。 2022年12月にサムスン電子の時価総額の70%水準にすぎなかったブロードコムは2年でサムスンを追い越して遠く先を行く。現在のブロードコムの時価総額はサムスン電子(13日基準約335兆ウォン)の4倍に達する。サムスンもやはりオンデマンド半導体事業と自社ファウンドリー(半導体委託生産)連係を試みたが特別な成果を出すことができなかった。AI半導体時代が開かれたがむしろサムスンの主力事業であるメモリー半導体分野のリーダーシップまで揺らぎ尻に火がついた状況だ。 ◇超格差のTSMC、追撃するインテル 世界のファウンドリー市場の64.9%を占める1位のTSMCの次世代2ナノメートル(ナノは10億分の1)プロセスも順調だ。TSMCは今月初めに国際電子素子学会(IEDM)で2ナノプロセス関連細部情報を公開した。直前世代である3ナノプロセスより電力消費量を最大35%減らし、性能は15%上げた。TSMCは「回路の配線を変え新しい素材を導入するなど各種新技術を総動員した。初期歩留まりも相当良好だ」と明らかにした。TSMCは来年下半期から2ナノプロセスを量産する。 トップを失いぐらつくインテルまで超微細工程に命運をかけて競争している。共同で同社暫定CEOを務めるデービッド・ジンスナー氏とミシェル・ジョンストン・ホルトハウス氏は12日、インテルファウンドリー18Aプロセス(1.8ナノ級)で来年生産される新型中央処理装置(CPU)の試作品が顧客に成功裏に伝えられたと明らかにした。インテルは来年に18Aプロセスで量産を始める計画だ。新しいCEOも探している。ブルームバーグは8日、インテル取締役会が新CEO候補の1人にアップルのハードウエア部門を率いているジョニー・スルージ首席副社長を考慮していると報道した。 ◇韓国半導体に50年ぶりの機会きたが システム半導体に押され助演役にとどまったメモリー半導体でAIに最適化された広帯域メモリー(HBM)が登場し韓国の半導体事業にまたとない機会が訪れたが、対内外環境は思わしくない。政治的不確実性により株価・為替相場の変動幅は大きくなり、政府の補助金支援を強化して研究開発人材に週52時間制適用の例外を設ける内容の半導体特別法議論は全面中断した。ここに中国のメモリー半導体企業が低価格で低仕様DRAMやNAND型フラッシュを市場に浴びせてサムスン電子とSKハイニックスの業績を脅かしている。 場合によっては韓国が強いAIメモリー分野まで海外企業に主導権を奪われかねないとの懸念が出ている。米ファブレスのマーベルテクノロジーは11日、サムスン電子、SKハイニックス、マイクロンを呼び集めて次世代HBMアーキテクチャー開発に乗り出すと発表した。今後市場が大きくなるオーダーメード型HBMの概念を定義して市場を作っていく過程で米国のファブレスが主導権を握るという宣言だった。この場合、韓国のメモリー企業は爆発的に大きくなるAI技術市場でメモリー半導体供給者にとどまる可能性が大きい。嘉泉大学のキム・ヨンソク客員教授は「韓国半導体がAI時代の中心に入るか、そうでなければ単純な下請けに追いやられるかを決定する重要な時期」と話した。