ともに開幕戦勝利で勢いあり。ワイルドナイツ、スピアーズの、揺るぎなきスタイルがせめぎ合う。
スピアーズもワイルドナイツ同様、開幕戦と同じSOが2戦続けてタクトを振り、チームを勢いづける。 バーナード・フォーリーは前戦の後半43 分、27-27のタイスコアから決勝の『さよならドロップゴール』を決めて劇的勝利を呼び込んだ。 その勢いを持って、開幕2連勝に挑む。
チームに漂う空気がいいからだろう。スピアーズは2戦連続で、先発、ベンチスタートの23選手に変更はない。 HO江良颯やCTB廣瀬雄也らがチームに新鮮な風を吹かせている。また、静岡ブルーレヴズから移籍加入のSHブリン・ホールの存在も頼りになる。
開幕のヴェルブリッツ戦は前半を10-21とリードされる展開。決してラクな試合ではなかった。 流れを引き寄せたのは後半7分にフロントローを一気に入れ替え、紙森陽太、マルコム・マークス、オペティ・ヘルの3人が揃ってからだった。
3人のスクラメイジャーが牽引するスクラムは強く、相手の反則を誘う。敵陣に入り込み、3トライと得点を重ねて追いついた。 最前列の3人以外にもSH藤原忍が同じタイミングでピッチに出て、テンポアップの働きを見せた。今後の試合でも、前半と後半でギアを変えて戦うスタイルが相手にとっては脅威となるだろう。
開幕戦勝利後、フラン・ルディケ ヘッドコーチは、ファウルア・マキシ主将体制となった初戦での勝利を喜び、そのリーダーシップを愛でた。 戦前に描いた80分間のストーリーを、予定した通りに戦い切ったからだ。 指揮官は「23人の努力の結果得た勝利」と、いきなり理想的な試合を実践できたと喜んだ。
自分たちの戦い方を確立しているワイルドナイツとスピアーズの対戦は、今季のプレーオフまで続く予想もある。 この時期にしてハイレベルの80分を楽しめるだろう。
田村一博