<変わるセンバツ>/4 継投前提、チーム作り
見慣れない左腕が、兵庫・明石トーカロ球場のマウンドに上がった。6日に京都翔英と対戦した神戸国際大付(兵庫)の今季初の練習試合。昨秋の公式戦は一塁手だった武本琉聖(2年)が先発し、五回途中2失点と試合を作った。青木尚龍監督は「収穫。戦力として考えている」とうなずいた。エース右腕・阪上翔也(同)が昨秋に右肘を痛めたこともあり、投手陣に厚みを持たせるために実戦登板させた。 今季の対外試合が6日に解禁されると、センバツ出場校は新戦力を含めてさまざまな起用法を試している。 東海大菅生(東京)も昨秋は外野手で出場した右腕・藤井颯太(1年)ら野手兼任を含む6投手を登録。若林弘泰監督は「藤井は中学時代はエース。秋は1週間に1試合だからエースにプラス1投手で足りたが、(13日間で5試合の)センバツでは人数が必要」と、先発2人に中継ぎ左右各1人、抑え1人、予備1人の構想を持つ。「勝ち上がるには継投が必要」と考える契機となったのが、2017年夏の甲子園だ。 ダブルエースだった当時のチームは2回戦、3回戦とそれぞれエースが完投したが、準決勝で花咲徳栄(埼玉)に敗戦。花咲徳栄が、全6試合で綱脇慧が先発し、清水達也につなぐ継投で優勝したのを見て「2投手を交互に先発させても、完投や終盤まで投げると次の登板に疲れが残る。先発が5、6回を投げ、残りを抑えが投げる方が負担が少ない」として継投でのチーム作りを心がけてきた。 私学と公立では選手層に差が出やすいとの指摘があるが、21世紀枠選出で公立校の三島南(静岡)は野手兼任投手を作ることで対応している。稲木恵介監督は野手の中からストライクが取れる制球力を基準で選んだ上で「練習時間が限られているため、ブルペンには入れずに打撃投手をさせる」と実戦形式で経験を積ませる。今大会は野手兼任3人を含む6投手がベンチ入り。稲木監督は、練習試合で基本3イニングを投げさせ、「相手打線が2巡目に入っても抑えられるか」を見ながら1イニングやワンポイントなど起用法を決めていくという。大会直前まで各校の試行錯誤が続く。【安田光高、写真も】=つづく