端島(軍艦島)が消える?静かな崩壊が進む世界遺産 水面下の”致命的な脅威” 前例なき技術者たちの挑戦
長崎市の「端島(軍艦島)」は世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」の構成資産としても知られています。しかし、無人島のまま風雨にさらされ続ける中、建物の倒壊だけでなく、島自体が崩壊する危険性が指摘されています。島を後世に残すため、技術者たちによる前例のない保全工事が水面下で進められています。 【画像を見る】端島が消える?水面下に潜む脅威を水中カメラがとらえた ■閉山50年、無人の島に迫る危機 かつて炭鉱の島として栄えた端島。岩礁の周りを埋め立てて造られた人工島で、ことしで閉山から50年が経ちました。無人島となった今、日本の近代化の歴史、それを支えた人々の営みがあったことを静かに伝え続けています。 しかし、無人島のまま風雨にさらされ続ける端島は建物の倒壊が進んでおり、島の形は刻一刻と変わっている現状です。 そして今、島自体の崩壊につながりかねないもう一つの危機が迫っています。その場所は、人の目が届かない海の中ー。 ■水面下に潜む致命的な脅威 これは、ことし撮影された端島の海中の映像です。(「画像を見る」から確認できます) 島の土台となる「護岸」に、ところどころ穴があいているのです。 ■端島が崩れる 加藤産業・木寺修工事部長: 「崩れ落ちる。吸い出されて波で洗掘されて、中の埋め立てたものがどんどんどんどん流されていって空洞化して、最後はパタンとなるおそれがある」 端島を15年以上研究している長崎大学の出水享工学博士も、護岸の劣化が端島の存続を危うくしている現状を指摘しています。 長崎大学・出水享工学博士: 「端島は『波』との戦いが一つの歴史にも刻まれています。風だけではなく、遠くで発生した『台風のうねり』も島を襲っています。災害・波によって護岸の破壊が繰り返されているので、あれだけ大きな頑丈な護岸でも島自体を壊す大きな影響要因の一つになっています」 島を襲う「波」は建物や桟橋だけでなく、海中の護岸をも浸食しているのです。 ■前例なき挑戦 この水面下の危機に立ち向かう工事が、2023年から始まっています。長崎市から工事を委託されたのは建設会社「Factory」と「加藤産業」の共同企業体です。