日本初のフルタイム4WD! 競技ベース車であるGT-Aを追加してWRCに参戦したファミリア
マツダの主力車種であるファミリア。5代目BD系、6代目BF系とインパクトを残していたモデルであったが、衝撃的なモデルが誕生した。それがフルタイム4WDとターボエンジンを搭載したGT系であった。 【画像17枚】フロントコアサポート下に設置される空冷式インタークーラー。取材車両はエアコンが故障したことを機にコンデンサーを外し、インタークーラーに走行風がよく当たるよう導風板を設けている。ターボ車とフルタイム4WD車のミッションは、5速MTのみのラインナップ 【最強の系譜 4WD+ターボ 1988年式 マツダ ファミリア 3ドアハッチバック フルタイム4WD 1600 DOHCターボGT-X】 このターボパワーを路面に余すところなく伝えるのが、日本初のフルタイム4WDシステム。遊星ギア型センターデフを装備し、4WDの弱点となるタイトコーナーでのブレーキング現象を解消。前後へのトルク配分は常時50対50で、雪道などで一輪が空転した場合でも室内のスイッチでセンターデフをロックすれば、前後どちらかの駆動力をキープしてくれる仕組みだ。また、フルタイム4WD車には車高を30mmアップするハイトコントロールも装備されており、路面状況に合った最低地上高を選択することができる。 87年2月にはGT-Aを追加。このGT-A、フルタイム4WDにターボエンジンを組み合わせるのはほかのグレードと同じだが、リアに日本初のビスカスLSDを装備。さらに、強化クラッチやストラットタワーバーを装着し、リアスポイラーなどを取り外して軽量化を狙った競技ベース車である。 そしてファミリアは、このメカニズムを武器に国内外のモータースポーツに参戦。WRC(世界ラリー選手権)では並み居る強豪を相手に、参戦2年目のスウェディッシュラリーで初優勝(クラス1位、総合4位)。最盛期となった89年には2勝を挙げた。しかし、ライバルたちが2L級エンジンを搭載することに対し、ファミリアは1.6L。その非力さは明らかで、90年には新型へバトンタッチし、93年をもってWRCでのワークス活動は終了した。 主要諸元 Specifications 1988年式 マツダ ファミリア 3ドアハッチバック フルタイム4WD 1600 DOHCターボGT-X(BFMR) 全長×全幅×全高(mm) 3990×1645×1394 ホイールベース(mm) 2400 トレッド前/後(mm) 1400/1425 車両重量(kg) 1100 エンジン型式 B6型 エンジン種類 直列4気筒DOHCターボ 総排気量(cc) 1597 ボア×ストローク(mm) 78.0×83.6 圧縮比 7.9:1 最高出力(ps/rpm) 140/6000 最大トルク(kg-m/rpm) 19.0/5000 変速比 1速3.307/2速1833/3速1.233/4速0.970/5速0.795/後退3.166 最終減速比 3.850 ステアリング ラック&ピニオン サスペンション ストラット(前後とも) ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク タイヤ 185/60R14(前後とも) 発売当時価格 190万円 初出:ハチマルヒーロー 2017年5月号 Vol.41 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部