北陸新幹線延伸、自民京都府議団「府全域に効果あるルートへ再考を」
北陸新幹線の敦賀―新大阪間の延伸計画をめぐり、自民党の京都府議団は11日、政府・与党が進めている「小浜・京都ルート」の再考を国に求めることを要望する文書を西脇隆俊知事に手渡した。事業費が大きく膨らむ見通しが国から示されたなか、府の負担額が受益に見合わなくなる可能性が高いという不満が顕在化したかたちだ。 【画像】京都市内の駅位置は3案ある小浜・京都ルートの概要 市中心部ではない案も 福井県小浜市から京都市中心部までトンネルを通す小浜・京都ルートについて、国土交通省は8月、事業費が当初の想定の2倍以上となる最大5・3兆円に上るとの試算を公表した。北陸新幹線の延伸に関する与党整備委員会の西田昌司委員長(参院京都選挙区)は年内に詳細なルートを決め、来年度中に着工する方針を示している。 自民府議団は要望書で、北陸新幹線は「必要不可欠」としつつ、地下水や建設残土に運搬による生活環境への影響のほか、自然環境や農産業への影響について府民から懸念の声が高まっていると指摘。小浜市から京都市まで直通するため、府中北部で「新幹線整備による受益はほとんどなく、増大する費用負担への不満の声も日々大きくなっている」とした。 そのうえで、前提条件が大幅に代わり、府の負担額が受益に見合わないと見込まれることから、「府民が納得できるルートをしっかりと議論し、ルートの見直しも含め府として最適なルートを選定する必要がある」と西脇知事に提言。府北部を含めた府内全域に整備効果を波及させられるようにルートの再考や、府などへの丁寧な説明を速やかにするように国に求めることを要望した。 要望を受けた西脇知事は「最大会派の自民党府議団の要望は極めて重いものだと思っている。しっかりと受け止めたい」と話した。要望した池田正義府議(舞鶴市選出)は取材に「米原ルートを望んでいるわけではない。具体的なルートは示していないが、府内を通り、府域の均衡ある発展ができるルートを求めている」と述べた。 知事への要望について、府議団の近藤永太郎団長は「国家プロジェクトであっても京都の人の意見は国に聞いてもらわないといけない」と話す。同団の荒巻隆三代表幹事は「府民の理解と納得がない中、延伸は進められない。このタイミングで今の府民の切実な言葉を知事側と共有しないといけないと考えた」と語った。 北陸新幹線の延伸計画について、与党プロジェクトチームが舞鶴市を通る「舞鶴ルート」や東海道新幹線米原駅に接続する「米原ルート」も含めて検討し、2016年12月に現行の小浜・京都ルートに決定した。当時、府は舞鶴ルートを推していたが、費用対効果が他のルートに劣るとして選定されなかった。(西崎啓太朗)
朝日新聞社