木も少子高齢化…福知山市が独自に「市循環型森林ビジョン」を策定
京都府福知山市内で人工林の高齢化が課題となっていて、伐採と植林による木の入れ替えが進んでいない。市は「将来、活用しづらい高齢の木が増える一方、若木が育っておらず、森林資源が失われる可能性がある」と分析。森の“少子高齢化”問題の解決と持続的な森林経営をめざす「市循環型森林ビジョン」を8月に策定し、来年度から本格的な施策を展開していく。 ビジョンは、木材供給、二酸化炭素の吸収、土砂災害の防止といった森林の多面的機能を最大限に発揮させ、維持していくために、市が独自で作った。2022年度に府、林業事業体などと計3回の意見交換会を開き、22、23両年度に夜久野地域でモデル事業に取り組んだ結果を踏まえて、目標を定めている。 林道に近いスギ、ヒノキの人工林を循環型森林整備の候補地(総面積4644ヘクタール)とし、候補地を中心に10年後の到達目標を設定。森林の更新や木材利用を目的に伐採する主伐・再造林の作業エリアを350ヘクタールで集約し、作業量は年間35ヘクタールを目標に掲げる。効率的で効果的な施業手法の確立も併せて進める。
主伐・再造林の推進が必要
福知山市の総面積5万5254ヘクタールのうち、約75%にあたる4万1549ヘクタールが森林で、府内3番目の規模となっている。人工林は1万9961ヘクタール、天然林が2万296ヘクタール。林業事業体への市の聞き取り調査では、20年度から22年度までの事業量の年間平均は利用間伐54ヘクタール、主伐1ヘクタール、木材生産量4867立方メートルとなっており、間伐が主体となっている。 主伐と再造林をしなかった場合のシミュレーションによると、50年後には循環型森林整備候補地の約60%で木が101年生以上になるとし、市は「大きすぎる木は伐採や製材が難しく、活用しづらいため、今から次世代の森林資源を作っていく必要がある」と訴える。 ビジョンの目標達成に向けては、森林所有者の同意取得を含めた主伐・再造林の支援▽事業の低コスト化▽地域ニーズの掘り起こしなどによる効率的な木材販売▽苗木の調達▽獣害対策といった8項目に分けて課題と解決策をまとめており、今後、具体的な制度設計を行っていく。