女性とりこにする〝進化系おはぎ〟 色や形に華、材料で季節感
SNSで広がり 日本あんこ協会
日本あんこ協会のにしいあんこ(本名・西井成弘)会長によると、“進化系”は見た目の華やかさからSNSで拡散され、洋菓子と比べると低カロリーなこともあって女性を中心に人気が広がった。専門店が増えたのはコロナ下。人との関わりが希薄になる中、「SNSで“かわいい”を誰かと共有し、承認欲求を満たしたい」(にしい会長)思いが強まり、持ち帰り需要も高まったという。 日本伝統食協会のはらゆうこ代表は“進化系”を通じた食文化の継承を期待する。おはぎは彼岸の行事食でもあるが、集落や家庭での継承は難しくなっている。“進化系”の見た目から興味を持ち、食べてみることが、本来の意味や由来を知る契機になるとみる。 <取材後記> インスタグラムで進化系おはぎを知り、あまりのかわいさにときめいた。取材を進めると、色彩豊かな“進化系”をそろえた専門店が続々見つかった。食べてみると、洋風の食材とあんこが調和した新たな感覚で、誰かに教えたくなった。見た目も味も、注目される理由がよく分かった。 おはぎを作る農家女性の加工グループを取材したことがある。ある女性が「子どもが離れて暮らしているので、家では作らなくなった」と寂しそうに言ったのが印象的だった。 進化系おはぎには、旬の果物や野菜が使われている。農家の加工品にも取り入れられそうだ。直売所などの新たな人気商品となり、従来のおはぎも含めて伝統が受け継がれていくことに期待したい。(高内杏奈)
日本農業新聞