脚本が秀逸な『ムービング』、『ザ・グローリー』が描く社会問題 2023年韓国ドラマ座談会
ベテラン勢の活躍が相次いだ2023年の韓国ドラマ
にこ:荒井さんが挙げてくださった『離婚弁護士シン・ソンハン』もそうですが、今年は主人公の年齢が高いドラマが続きましたよね。『医師チャ・ジョンスク』も専業主婦が一念発起してやり直すストーリーですし、人生百年時代の応援歌なのかなと思いました。 咲田:それで言うと『クイーンメーカー』も入れたいです! ストーリーとしてはもうあと一押しほしかったなと感じたんですけど、キム・ヒエさんとムン・ソリさんというここまでベテランの俳優を主演にするというのは、日本ではあまり考えられないですよね。やっぱり韓国ドラマってすごくいいなと思いました。 荒井:ベテラン勢の活躍ということなら、『イルタ・スキャンダル ~恋は特訓コースで~』も推したいです! にこ:だいぶ盛り上がりましたもんね! 咲田:『離婚弁護士シン・ソンハン』、私も良かったと思います。シン・ソンハン役のチョ・スンウさんが大好きなので、毎回何かしら歌ってくれるのが嬉しかったです。ミュージカル俳優の本領発揮でした! にこ:チョ・スンウさんと、友人役を演じたキム・ソンギュンさん、チョン・ムンソンさんが3人でキャンプするシーンがよかったですね。 荒井:俳優陣とともに、脚本もまた良かったと思っています。依頼人とのエピソードがどれも印象深いんですが、一番記憶に残ったのは第1話から登場するラジオDJソジンのエピソード。彼女のように離婚や不倫をした女性タレント、女性俳優に対する一般社会の反応って、犯した過ち以上に過剰なものだったり、差別的だったりすると思うんです。そういう問題をきちんと描いていることや、深い痛みから回復していくソジンを陰ながら支えるシン・ソンハンの姿も良かったです。あと2人が特に恋愛関係にならない展開も、安心して観ていられました(笑)。 咲田:本当にそうですね。配信当初は、なぜかあまり注目されませんでしたが、大人の魅力が詰まったいい作品だったと思います。
荒井南