脚本が秀逸な『ムービング』、『ザ・グローリー』が描く社会問題 2023年韓国ドラマ座談会
Netflixだけじゃない! 豊作だった2023年の配信ドラマ
ーー今年、韓国ではディズニープラスの会員が一気に増えたそうです。 荒井:配信だと、今年はディズニープラスが一番盛り上がっていたかなと思います。 にこ:『愛していると言ってくれ』『サウンドトラック』シーズン2も配信されていますし、『最悪の悪』も良かったですよね。 荒井:ディズニープラスの配信作品のなかでは、『悪鬼』が特に良かったです。 にこ:良かったですよね! 脚本を手がけたキム・ウニさんは前作が不評だったんですが、本作で再び称賛されて、ファンとしても嬉しかったです。 荒井:ドラマに登場するオカルト描写やモチーフは、相当丁寧に調べて取り入れたものだそうです。キム・テリさんの怪演も素晴らしくて、オカルトファンにはたまらない作品でした。 咲田:私はむしろオカルトものがちょっと苦手で、観ていないんです……。 にこ:『悪鬼』はイントロが一番怖いんですよ(笑)。 咲田:そうなんですね! じゃあイントロは飛ばしてちょっと観てみますね(笑)。主演のキム・テリさんは大好きなんです。『二十五、二十一』とは雰囲気が全然違うので、やっぱりすごい俳優さんなんだなと思ってはいました。 にこ:韓国の民俗学をモチーフに描いていますよね。若干違いはありますが、日本人における怪談のような要素を描いているところが、ほかの国の視聴者から観ても面白いポイントだと思います。 荒井:私が韓国ドラマで興味深いと思うのは、例えば何か体調不良が続いたりしたとき、選択肢として①病院に行く、②占い師やムーダン(巫女のような存在)に見てもらいに行くという二択になることです。「あなたの家には先祖代々こういう霊が憑いているから、今具合が悪いんですよ」という話になるのが本当に面白いなと思っています。巫俗信仰が実際に根付いているんですよね。 咲田:ちょうど今観ている『サムダルリへようこそ』でもそういう描写がありますね。主人公の女の子の妹が若くして未亡人になってしまうんですが、それはムーダンや占い師の助言に耳を貸さなかったから旦那さんが早く亡くなっちゃったんだ、というようなセリフがありました。 にこ:『ヒップタッチの女王』にもムーダンのおじさんが出てきましたね。 荒井:そうなんです! 「またムーダンだ!」っていう(笑)。 咲田:でも、あのおじさんは胡散臭い感じじゃなかったですか?(笑) 一同:(笑) 咲田:Netflix以外からも選んでみたいんですが、U-NEXTの『ワンダフルデイズ』も面白かったです。それからこれもU-NEXTで、私が大ファンのキム・ドンウクさんが出演している『豚の王』ですね。男性版『ザ・グローリー』という感じでもあり、それでいてちょっと違うところもあるんですが……本当につらい描写があるので、そこは2倍速ぐらいで観ていただいて(笑)。 にこ:Prime Videoの『誘拐の日』も、面白いとだいぶ話題になってますよね。 荒井:Prime Videoの韓国ドラマは、Netflixほど注目されるわけではないんですが、2022年の『アンナ』のように力強い作品が揃っていて、見逃せないです。 咲田:Prime Videoだと、私もにこさんが挙げていた『ボラ!デボラ』は、もう少し話題になっても良かったかなと思うくらい面白かったです。