「東京の人は怖いなあ…」沖縄ではいきなり営業してはいけない 「遊びに来てください」は「営業OK」ではない理由
沖縄での営業で注意したい独自ルールとは? 本土の人が、沖縄でビジネスをするとき、ふだんの「常識」が通じず、違和感を覚えることがあります。 実は、その違和感は、沖縄独自の慣習「沖縄ルール」によるものと指摘するのが、本土企業の沖縄進出をお手伝いしている伊波貢さん。 この違いを理解せず、仕事をしても、うまくいかないことが多いのだとか。 「沖縄は日本語の通じる外国と考えるとうまくいく」という伊波さんの著書『沖縄ルール知っておくとビジネスも人間関係もうまくいく!』から、沖縄の「常識」を紹介します。
「遊びに来てください」は「営業OK」ではない
営業先の会社の方と飲みに行き、楽しく飲んで帰り際に、「明日、会社にちょっと遊びに行っていいですか?」 本土から来た営業マン。とたずねます。沖縄の人は、これも仲良くなるいい機会だと思い、「いいですよ、どうぞ、遊びに来てください」と答えます。 次の日、その営業マンが会社を訪問しました。「昨日は楽しかったですね、また今度行きましょうよ。今日は天気もよくて気持ちいいですよね」など、他愛のない会話をしていたのですが、「実は、弊社で扱っている太陽光パネル、優れものなんです。御社でも取り扱いしませんか?」とパンフレットを差し出し、いきなり営業トークが始まるのです。東京だけでなく、本土の感覚からすると普通の営業スタイルと言えるでしょう。 しかし、沖縄では違います。このときの沖縄の方の気持ちは「遊びに来るってことだったのに、いきなり仕事の話が始まったよ。東京の人は怖いなあ……」と、がっかりする方が多いのです。となるとビジネスの話は前に進まなくなってしまいます。やり手の営業マンのはずですが、沖縄にくると思うように成績が伸びない。もし、心当たりがあるようだったら、このやり方を変えた方がいいかもしれません。
仲良くなれれば、その後はとてもスムーズ
こんなエピソードもあります。東京の知人が雑誌の取材で沖縄を訪れたときの話です。コーディネートをお願いしていた現地の方と居酒屋で待ち合わせをしました。お酒も進み仲良くはなれたのですが、次の日のスケジュールの話に一向にならず、ずっと世間話をしていて不安になったとのこと。でも帰り際に「はい、もうあなたとは友だちだから、明日からの取材は心配しなくて大丈夫。全員に声をかけてスケジュールもばっちりだからね」と言われ、実際とてもスムーズに仕事を進められたそうです。 逆のパターンも。沖縄移住を考えていた東京の方のケースです。まずはアパート探しをと、希望するエリアの不動産会社を訪ね、アパートを紹介してもらうことにしました。条件も細かく説明し、いい物件があったら連絡してくださいとお願いしたものの、その後は一切連絡がこなかったとのこと。 こうしたエピソードはたくさん耳にしますが、私からすれば当たり前のことだと感じます。一度会っただけで仲良くなることはないし、素性がよくわからない「内地(本土)の人」であればなおさら警戒するはずです。物件探しも積極的にはやろうとは思わないものです。 沖縄で営業するのなら、まずはいろいろな懇親会に参加して、自分という人間を知っていただくことが先決です。顔なじみになり、仲良くなったときに、「ところであなたは、どんな仕事をしているの?」と聞かれてから、初めてパンフレットを出す。このようにしたほうが、よりスムーズに営業ができることでしょう。