元横綱・曙が死去 闘病していた「心不全」の前兆となる5つの症状を医師が解説
心不全の前兆となる初期症状
【息切れ・呼吸困難】 普段は何気なく行っている動作、運動(平地歩行や階段、上り坂など)で息切れや呼吸困難感が生じることがあります。 息切れや呼吸困難は身体からの不調のサインです。そのような症状がある時には無理に運動をしないようにして、症状が改善するまで身体を休めてください。そのうえで、症状が繰り返し起こるようなら早めに医療機関の受診が必要です。 息切れ・呼吸困難がある時には、内科や循環器内科、呼吸器内科などを受診するとよいです。受診時にはいつ頃からどんな症状が起こり、その症状はどんな時に起こりやすいのかなどを答えられると診察がスムーズです。 また、症状が増悪傾向にある時や安静にしていても症状が出る時は緊急性が高く、早めの受診が必要です。 【下肢浮腫、体重増加、尿量減少】 気付いたら足がいつもよりむくんでいて、押すと指の痕が残る場合や、生活や食事が全く変わらないのに体重が徐々に増加してくることがあります。適度に有酸素運動をすることや、長時間の立位や座位を避けることで下肢浮腫が少し改善されることもあります。 しかし、下肢のむくみが徐々に悪化して靴下や靴が履きにくい時、またずっと体重が安定していた人が暴飲暴食もしていないのに体重増加した時などは要注意です。 そのような場合には早めに内科、循環器内科を受診してください。受診時には下肢のむくみが診てもらいやすいようにすぐに脱げる靴下やズボンを履くようにして、体重の変化があった場合には何日で何kgくらい増加したのか伝えると緊急性の指標になります。 【全身倦怠感、食欲不振、悪心】 心不全が進行すると、体うっ血による腸管浮腫などの影響もあり、食欲不振や悪心、全身倦怠感が強く認められることがあります。 全身倦怠感、食欲不振・悪心などの症状がある場合には、内科や循環器内科、消化器内科などの受診が望ましいです。特に、症状が強くて食事が全く摂れなかったり、嘔吐が続くようなケースでは緊急での受診が必要となります。 【持続する咳、痰の増加】 夜間にゼーゼーする呼吸を認めたり、ピンク色のサラサラした痰がたくさん出る咳が続く場合には、心不全に伴う症状の可能性があります。 夜間に咳や痰が増えて息苦しくなる場合には、少し上体を起こして眠ることで改善される場合があります。ただし、あくまで一時的な対策であり、早めの医療機関受診が望ましいです。 持続する咳、痰の増加を認めた場合には、内科や循環器内科、呼吸器内科などを受診してください。 受診時にはいつからどのような咳(痰が混じるのかどうか)が出ているのか、どんな時間帯に多いのか(夜や明け方にひどくなる)など説明できるようにしましょう。症状が日ごとに悪化するケースでは早めの受診が必要です。 【動悸、不整脈】 心不全になると、心臓に普段以上の負荷がかかる結果不整脈が生じやすくなります。また、不整脈が頻発するとより心臓に負担がかかり、ますます心不全が悪くなる原因にもなります。不整脈の症状としては動悸や胸痛、ふらつきなどが生じることがあります。 一般的に不整脈が労作時に起こることが多いため、動悸や胸痛などの症状がある時には身体への負担を減らすために安静にすることが望まれます。 しかし安静にしていても症状が出たり、労作の度に繰り返し症状を起こしたりするようであれば、早めに内科、循環器内科などを受診して検査を受けるようにしましょう。