【漫画家に聞く】“コミュ強”な女子高生と対照的なクラスメイト、会話の行方はーーSNS漫画『気になるあのこ。』が気になる
クラスメイトに分け隔てなく興味を持つ、明るい女子高生・高井さんが声を描けたのは、他者との距離感に悩む竹山さん。そんな2人の帰路を描いた漫画『気になるあのこ。』が2024年5月にpixivで投稿された。対照的な2人の距離は少しずつ縮まっていくなか、物静かな竹山さんのさまざまな一面が明らかとなりーー。 “コミュ強”な女子高生と対照的なクラスメイトの会話の行方が気になる漫画『気になるあのこ。』 作者・盆踊あきらさんによると本作は主に原稿用紙や鉛筆、Gペンをつかい描いた作品なのだという。本作を創作したきっかけ、紙とペンで漫画を描くことの魅力など、話を聞いた。(あんどうまこと) ーー創作のきっかけを教えてください。 盆踊あきら(以下、盆踊):人間関係や人との距離感について、自分でもわかりかねている部分があって。新たに連絡を取り合う友達ができたりとか、もう連絡するのやめようかなと思うことがあり、色々と考えていました。 そんな人との距離感に関することを漫画で描こうと思った際、大人よりも女子高生なら人間関係を描きやすいと思いました。そのため本作では距離感を図りかねている女子高生の物語として描きました。 ーー距離感を図りかねている竹山さんと対照的な人物として、高井さんが描かれていたかと思います。 盆踊:高井さんみたいな子って、ちょっと憧れますよね。教室の中心にいて、でも悪口を言っているところは見ないし、クラスメイトと仲がいいーー。そういう子への憧れもあったので高井さんを描きました。 竹山さんも悪い子ではなく、みんなとどう接していいかわからないだけの、純粋な人として描きたいと思っていました。竹山さんの好きな人が高井さんと付き合っていることを知らず、高井さんの前で暴走してしまう……。本作では竹山さんはちょっと恥ずかしいことが起こっていますが、竹山さんのそんなところもかわいらしく見えるように意識しました。 ーーある種コンプレックスにも成り得てしまう一面も、傍から見るとかわいらしく、魅力的に映るのだと感じました。 盆踊:そうですね。自分が創作するうえで大きなテーマは「人がどう思っているかなんてわからない」です。自分の見え方はもちろん、「ちょっとやってしまったな」とか「あんなこと言われちゃったな」といった、自分の過去を浄化するためにも漫画を描いています。 ーー本作を描くなかで印象に残っているシーンは? 盆踊:「顔が好き」ということを他人に言ってしまうシーンは印象に残っています。おそらく明るい子だったら「顔がいい」と普通に言えてしまうかと思います。距離感がつかめないことと「顔が好き」と言ってしまうこと、そして顔が好きな男子と関係の近しい子に言ってしまうことを組み合わせたら、漫画としても面白くなるのではと思っていました。 ーー本作を描くにあたって使用した画材は? 盆踊:下描きからベタ塗りまでは原稿用紙、鉛筆やGペンをつかっています。トーンや台詞の挿入、細かな修正はデジタルツールを用いていますね。 ーー現在はデジタルツールのみで漫画を描く人が増えているかと思います。アナログな画材で描く魅力とは? 盆踊:描く際に出るペンのかすれる音が好きだからです。あとアナログの方が楽ですね、諦められるので。 デジタルツールだと描いた線を簡単に取り消すことができますが、そのせいで「ここは頑張って綺麗にしよう」とか「ここの線をどうにか上手にできないか」と考えてしまうかもしれません。 その点、アナログなら簡単に取り消しができないため諦めがついて気が楽になり、その時に描いている漫画に集中できて結果的に気持ちの良い線を描くことができます。 ーー今後の目標を教えてください。 盆踊:漫画を描くことで過去の出来事・自分を浄化しつつ、届くかどうはかわからないですが、自分と似た気持ちを抱く人に向けて漫画を描いていきたいです。浄化のために描いた漫画が、だれかに届き、描いたことは間違いではなかったと思えるーー。そんな答え合わせもしたいので。
あんどうまこと