「リオでバレー人生の集大成」最後にかけるサオリンの思い
「リオでバレー人生の集大成」最後にかけるサオリンの思い THE PAGE大阪
「リオでバレー人生の集大成」──。そう話すバレーボール日本女子代表のキャプテン木村沙織。最後の大舞台と見据えるリオデジャネイロ五輪の出場権がかかるワールドカップバレー(22日開幕)を前に、長く束ねていた髪を30センチばっさり切った。雰囲気も変わった。「緊張感で練習中はピリピリムード。髪を切ったのは気持ちの表れでしょうね」と眞鍋監督も驚く“ギアチェンジ”ぶりだ。日本勝利の鍵となる「ディフェンス力」強化のために、男子コーチが台上から打つアタックに食らいつく。キャプテンが見せる危機感が若手にも伝わり、チームの意識やムードも上がってきた。「強い心で、死に物狂いで戦いたい。ここで五輪切符を必ず取る」。なりふり構ってなどいられない、必死のサオリンが火の鳥NIPPONをリオへ導く。
髪バッサリ、本人は「気分転換」
日本女子はワールドグランプリ決勝ラウンドで世界のトップチームに全敗した。アメリカ、ブラジル、中国、ロシアには1セットも奪えずストレート負け、イタリアには2-1から逆転されフルセットで敗れた。 その後、ワールドカップに向けた最終合宿に現れたキャプテン木村沙織の髪はバッサリと切られ短くなっていた。ロンドン五輪時はショートだったが、その後から伸ばし、ここ数年はずっとロング。自身が書き下ろしたイラストをモチーフにプロデュースしたLINEスタンプ「女子バレーボールきむらさおりちゃん」もそうだが、三つ編みがトレードマークになっていた。 「気分転換」と本人はいうが、眞鍋監督は「ワールドグランプリの決勝ラウンドでああいう負け方をしての危機感……キャプテンとしての気持ちの表れでしょう。大事な勝負の大会の前にはチームは緊張感を作らないといけない。そういうことを一番知っているのは木村だから」という。 実は木村は、ここ数年、調子が上がらず、世界バレーで7位、3年ぶりに復帰したV・プレミアリーグ2014-15でも6位(東レ)と結果を出せなかった。今季のワールドグランプリも途中で交代させられたり、スタメンを外れるなど、思うような活躍ができずにいた。それゆえに、キャプテンでいることを悩むこともあったという。 だが、最終目標と決めているリオ五輪に出場するためには、いつまでもそんな状態ではいられない。木村が変わった。「サイドアタッカーでは、いま木村が一番乗っている。ここ数年で一番いい状態」と眞鍋監督が自信を持って評するくらいまでに調子を上げてきた。「そういう沙織の態度や真剣な表情をみて、若い選手や初めて代表入りした新しい選手がそれを肌で感じて、自分もやらないとと思い、チームに緊張感が生まれる。非常にいいムードになってきた」と指揮官もうなづいた。