VS最凶殺人鬼、無敵の美人コンビ、型破りなやり手弁護士…“頼もしい主人公”が魅力 この夏見たい海外ドラマ3選
刑事と検視官の女性コンビが事件解決に挑むクライムサスペンス「リゾーリ&アイルズ」。FBI捜査官が最凶殺人鬼と死闘を繰り広げるノンストップ・サイコサスペンス「ザ・フォロイング」。型破りな弁護士がさまざまな依頼に立ち向かうリーガルドラマ「ハリーズ・ロー 裏通り法律事務所」。本記事では、この夏に見たい3作の米ドラマの魅力、吹替版での楽しみ方を紹介する。 【写真】無敵の美人コンビ…二人の黒ジャケット姿がカッコいい(「リゾーリ&アイルズ シーズン2」より) ■敏腕刑事と有能な検視官コンビの無敵感が最高な「リゾーリ&アイルズ」 ボストン市警殺人課のタフで有能な女性刑事ジェーン・リゾーリ(アンジー・ハーモン)と、冷静な理論派かつ女性らしさを大切にしている主任検視官モーラ・アイルズ(サッシャ・アレクサンダー)。正反対の二人がタッグを組んで、友情を深めながら、唯一無二の無敵凸凹コンビとして凶悪犯罪に挑む、本格クライムサスペンス。 リゾーリは思い立ったらすぐ行動に移す熱血派で、女性っぽいことは一切苦手。いつもダークな色合いのパンツスーツを着用し、オシャレには無頓着。男性社会の色合いが濃い警察組織の中でも、抜きん出て優秀な刑事だが、イタリア系の庶民的な家庭に育った彼女は、家では過保護な母親にいつまでも子ども扱いされているという、そのギャップが面白い。 一方、上流家庭の出身で才色兼備なアイルズは、常に完璧で女性らしいファッションに身を包んでいるが、何でもかんでも分析したり、空気を読まずに幅広い知識を披露したりするなど、やや変わり者の一面も。実は人付き合いが苦手な彼女は、常に開けっ広げで勝気なリゾーリとは、まるでタイプが異なるが、やはり有能な検視官だ。 そんな二人が親友として寄り添い、お互いを補い合い、支え合って、難事件を解決していく「リゾーリ&アイルズ」は、バディものの警察ドラマとして大いに楽しめる。綿密に練られたストーリーが魅力的で、扱う事件の内容も、解決するまでのプロセスも、非常にスリリングで見応えがある。 大ヒットクライム・サスペンスドラマで人気を博したキャストが主演を務めているのも、本作の見どころポイント。リゾーリを演じるのは、「LAW&ORDER」アビー役のアンジー・ハーモン。アイルズを演じるのは、「NCIS~ネイビー犯罪捜査班」ケイト役のサッシャ・アレクサンダー。スタイリッシュで美しい二人が、リゾーリとアイルズのコミカルな面も表現し、事件解決で活躍するのはもちろん、家族や仲間との絆を紡いでいく姿を体現しているのも必見だ。 吹替版でリゾーリとアイルズの声を演じているのは、人気実力派声優の朴ロ美(アニメ「NANA-ナナ-」大崎ナナ役など)と井上喜久子(アニメ「らんま1/2」天道かすみ役)。朴はハスキーボイスでアクティブなリゾーリの声を、井上は艶っぽい声でお嬢様出身のアイルズの吹替をしていて、日本語版の魅力を高め、番組を盛り上げている。 ■ケヴィン・ベーコンTVドラマ初主演、先の読めないサイコサスペンス「ザ・フォロイング」 1984年の大ヒット映画「フットルース」(1984年)に主演し、世界的な知名度を得てハリウッドスターの仲間入りを果たしたケヴィン・ベーコン。その後も、「アポロ13」(1995年)や「ミスティック・リバー」(2003年)などの映画に出演し、映画界のトップスターとして活躍してきたケヴィンが、初めてTVドラマシリーズに主演したのが「ザ・フォロイング」だ。 4人の女子大生を残忍な手口で殺した元大学教授の連続殺人犯ジョー・キャロル(ジェームズ・ピュアフォイ)が、死刑執行を目前に刑務所を脱獄する。キャロルを逮捕したFBI捜査官ライアン・ハーディ(ケヴィン・ベーコン)は、キャロルの逮捕時に心臓に深刻な傷を負ったことでFBIを去っていたが、FBI長官からキャロルを再逮捕するために現場への復帰を要請される。 キャロルは刑務所内で看守を洗脳し、収監中にネットで外部と接触して、狂信者とも言うべき熱心なフォロワーのネットワークを作り上げていた。ライアンは、どこにどれほどの数のキャロルのフォロワーがいるのか分からないまま、キャロルの追跡を始める。 タイトルの“フォロイング”とは、“追跡”や“信奉者”という意味でも使われる言葉で、キャロルに洗脳されたフォロワーは、キャロルを信奉し、フォロワーたちも殺人集団となっていくのが恐ろしい。そんな集団を相手に、心臓に傷を抱えたまま捜査するライアンには危険がつきまとい、先の読めない展開から目が離せない。 歴史ドラマシリーズ 「ROME[ローマ]」のジェームズ・ピュアフォイが、カリスマ性のある殺人鬼を怪演。ライアンを熱演するケヴィンとの演技対決は見ものだ。ケヴィンと言えば、「クローザー」主演のキーラ・セジウィックとのおしどり夫婦ぶりが有名だが、吹替版で彼の声を演じる山路和弘と、「リゾーリ&アイルズ」でリゾーリの声を演じる朴ロ美も、同じくおしどり夫婦として知られている。ぜひ、この機会に両作を吹替版で楽しんでほしい。 ■オスカー女優キャシー・ベイツ主演、人情味あふれるリーガルドラマ「ハリーズ・ロー 裏通り法律事務所」 1990年公開の映画「ミザリー」でアカデミー賞・主演女優賞を受賞したキャシー・ベイツが、信念を貫く型破りなやり手弁護士に扮する、ハートフルなリーガル・コメディ。 特許法専門の弁護士、ハリーことハリエット・コーン(キャシー・ベイツ)は、大手の法律事務所を解雇されたのをきっかけに、第2の人生を始めるべく、シンシナティで自ら事務所を構えることに。そこは治安が悪い土地で、舞い込んでくるのは一筋縄ではいかない案件が多いが、ハリーは自分の考えを曲げることなく、常に真っ向から勝負に挑み、わが道を突き進んでいく。 ハリーを取り巻く登場人物たちも、個性的な面々ばかりで面白い。若手弁護士アダム(ネイト・コードリー)は、うっかり車でハリーをはねるし、ハリーが事務所を構えたのは倒産した靴屋が入っていたテナントだが、ハリーのアシスタントだったジェナ(ブリタニー・スノウ)が押しかけてきて、残されていた靴を販売するし、自殺しようとしてハリーの上に落ちた学生マルコム(アムル・アミーン)は、ハリーのおかげで立ち直り、事務所で働くことになる。ちなみに、ハリーは車にはねられても、上から落ちてきた人の下敷きになっても無事だというのが最高だ。 弁護士としての活躍も目覚ましく、ハリーの評判を聞きつけて、どんどん依頼人が集まってくるのが、見ていて心が温まる。そんなハリーを、キャシーは秀逸な演技力で体現。彼女が好演するハリーの事務所を、思わず訪れてみたくなるような、とても魅力的なドラマとなっている。 「アリー my Love」でエミー賞を受賞したデヴィッド・E・ケリーが、本作の企画・製作総指揮を担当。リーガルドラマであり、コメディでもある「アリー my Love」を大成功させた彼が、同じジャンルの「ハリーズ・ロー 裏通り法律事務所」を世に送り出し、今回はどっしり構えた頼りがいのある主人公ハリーの人情味あふれるストーリーで、視聴者を魅了。マシンガントークを繰り広げるハリーの吹替を、ベテラン声優の小宮和枝(「ER 緊急救命室」ケリー・ウィーバーの声でもお馴染み)が担当。字幕を目で追うことなく、情報量の多いセリフを日本語版で堪能してみてほしい。 いずれも主人公たちが魅力的で、演じるキャストが安定感抜群の演技派俳優ばかりの3作。「女性チャンネル♪LaLa TV」では今回取り上げた作品を8月から放送を開始する。暑い夏、頼もしい主人公が活躍する海外ドラマにハマって、気分を上げてはいかがだろうか。 ※朴ロ美のロは、正しくは王へんに路 ◆文=清水久美子